来日中、FacebookのCOOが語る「女性の社会進出に必要な3つのこと」(3/4 ページ)

» 2013年07月03日 08時00分 公開
[Business Media 誠]

本を読んだザッカーバーグ氏の感想は?

――日経BPと申します。この本の後ろに(Facebook CEOの)ザッカーバーグさんが「この本は男性に読んでほしい」とコメントされているようなんですけど、そのときのやり取りを教えていただけますか?

シェリル 私の本を読んでくれたのが昨年の11月くらいでした。米国だと、サンクスギビングという感謝祭の祝日があります。そのときに話しました。もうマーク(・ザッカーバーグ)と一緒に仕事をして5年以上になるんですけど、会社に行くと毎日、隣に座るわけですね。彼はまず最初に「ここに書いてあることって、シェリルが普段言ってることだよね」って言いました。

 ただそこで、「でも1冊の本にしてまとめて読んでみると、これは会社の男性の経営者が読むと、いかに女性と働くことが大切か、実は働きやすいってことがよく分かった。だから男性の社長だけじゃなくて、男性で仕事をしている人はすべて読んでほしい。男性皆さんに読んでほしい」という風に言っていたんです。

――マーク・ザッカーバーグさんと働いて5年以上ということですけど、あなたと一緒に働くことによって、彼の考え方に何か変化などはあったのでしょうか。

シェリル・サンドバーグ マークが言うとしたら、彼も意識は変わっただろうし、私も一緒に働くことによって意識が変わりました。お互いに変わったということだ思います。

 私の場合ですけど、マークに出会わなかったら、この本はなかったと思います。Facebookで働いてちょうど6カ月くらいのときですかね、マークが私に言ったんです。「君は人に好かれようと気にし過ぎている。いつも誰かに何か失礼なことを言ってないか、何か悪いことを言ったんじゃないかって気にしていることが分かる」と。

 で、そのときに、「みんなに好かれようとしていたら、世界なんて変えられないよ」って言われたんです。それから考えてきたことが実際にこの本になりました。

性別による問題はきっちりと対話していくべき

――ザッカーバーグさんは特に女性に対する見方が変わったんでしょうか?

シェリル・サンドバーグ 私の影響で変わったことと言えば、やはり事業を拡大させられたこと。あとは社員との関わり方についても彼に変化があったとしたら良いことだと思います。

 メンローパークにあるオフィスだけではなくて、東京にもあるオフィスだとか、世界中の従業員の働き方が変わったんじゃないかなと思います。女性については特に。

 特に『LEAN IN』で私がお伝えしたいことは、性別による問題というのはきっちりとはっきりと対話していかなければならないということを書いたつもりなんですけど、これは私自身も意識が変わっていったことですし、マークの中でもそうだと思います。そして世界中の皆さんもこういうことを正さなければいけないと思っていただけるんじゃないかなと思います。

 マーク自身が何て言うかな、ということを考えると、やはり女性と働くということに関して対話を持てるようになった、そして公式に話ができるようになった。それが1つ影響した点じゃないでしょうか。

――朝日新聞と申します。2つあります。ザッカーバーグさんが変わったということでしたが、他の男性社員はどうでしょうか。あとはお嬢様のお話が興味深かったのですが、息子さんについて何かエピソードはありませんか? 今後、お子様はどういう風に成長してほしいと思いますか?

leanin.org

シェリル・サンドバーグ Facebookというのは女性が働く場としてはちょっと珍しい環境かもしれません。というのも、こういった女性が働くこと、男性が働くことについて、対話がオープンに行われているからです。

 LEAN INを書いた理由の1つですが、他の会社でもこういった対話をオープンに持って貰いたいと思ったんです。私の本のWebサイトがあるんですが、leanin.org(参照リンク)に行っていただきますと、世界中の200社以上が「私たちもLEAN IN活動をやっています」と宣言しています。

 実は日本の企業でもそういった取り組みが行われており、昨日、KDDIさんを訪問してきたんです。2つのミーティングに出席してきました。1つはFacebookについてなんですが、2つ目のミーティングは女性の活用についてでした。KDDIにおいて女性はどうやって活用していけばいいかというのを、社長を含め、女性社員とお話する機会がありました。

 私の娘と息子が将来どういう風に成長していくかは、やはり皆さんのお子さんと同じ状況だと思います。というのも、今後どういう社会になっていってほしいかと考えると、成長するにあたって世界が変わっていったらいいと思うんです。家庭でもLEAN IN――要は一歩進もうとすること、自分で力を尽くすことを家でもやる。で、職場でも仕事においてもLEAN IN活動に積極的に関わることによって、人生の成功をつかんでほしいと思っています。いま息子は8歳ですけど。

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