学んだことを即、仕事に生かしたい! 社会人大学院に女性が増えているK.I.T.虎ノ門大学院教授×誠編集長対談

最近、働きながら勉強する女性が増えているというK.I.T.虎ノ門大学院。「事業を成功させたい」「マネジメントを学びたい」といった彼女たちのモチベーションは、キャリア女性ならきっと皆共感する――三谷宏治教授と誠編集長の吉岡綾乃が話し合った。

» 2013年07月03日 16時45分 公開
[PR/Business Media 誠]
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 仕事をしながら平日夜や週末に実践的な経営学が学べる社会人大学院として、ビジネスパーソンの間でK.I.T.虎ノ門大学院の人気が高まっている。同校ではビジネススクールには珍しく、女性の受講生が多いというのも特長。キャリアウーマンはもちろん、起業意識の高い若手女子も多いという。そこで、Business Media 誠編集長 吉岡綾乃が、三谷宏治主任教授に話を聞いた。

ビジネスや知財のプロフェッショナルを育成する社会人大学院

K.I.T.虎ノ門大学院 ビジネスアーキテクト専攻 主任教授 三谷宏治氏

吉岡 K.I.T.虎ノ門大学院とはどのような学校でしょうか。

三谷 本校は金沢工業大学が2004年に東京虎ノ門に開校した、ビジネスおよび知的財産のプロフェッショナルを育成する1年制の社会人大学院です。「ビジネスアーキテクト専攻」と「知的創造システム専攻」の2つのコースがあります。

 ビジネスアーキテクト専攻では、ビジネス現場の第一線にいる教員から経営戦略やマーケティング、組織マネジメントといったスキルが実践的に学べます。知的創造システム専攻では、著作権法などの知的財産法やIT、経営に関する実務やマネジメントを学び、弁理士などの知財のプロを目指します。私はビジネスアーキテクト専攻の主任教授を務めています。

吉岡 どういった層の生徒が多いですか?

三谷 働きながら通われている方が9割ですね。男性は30代〜40代が中心ですが、50代で「最後のチャンスで独立するぞ!」という決意の方もいます。女性は20〜30代の方が多いです。最近は少しずつ女性が増えていますね。今期の入学者で見ると、ビジネスアーキテクト専攻の、約2割が女性です。知財の知的創造システム専攻では5割以上ですから、かなりの率になりますね。

「漠然とした不安」が入学のきっかけ

吉岡 学生のみなさんは、主にどういった動機で社会人大学院に通われるのでしょうか。

三谷 私のゼミ生で、「日本人はなぜ社会人大学院に通うのか」をテーマに論文を書いた方がいます。論文の結論は「将来に対して漠然とした不安感を抱いているから」というものでした。現代の社会人は、社内で明確なキャリアゴールが約束されているわけではありません。仮に約束されていたとしても、会社そのものがどうなるか分かりません。リーマン・ショックのような大混乱が起きたときに、今の職種のスキルではつぶしが効かないかもしれないし、会社の外では必要とされないかもしれない。そうならないように社会人大学院でビジネスパーソンとしての力をつけておきたいという、危機感が動機で社会人大学院に行く人が、男女ともに6割以上だったのです。

吉岡 それは意外ですね。働きながら通うくらいですから、上昇志向の強い方ばかりが通っているのかと思っていました。これも時代なのかもしれませんね。ところで、K.I.T.虎ノ門大学院は「MBA」ではありませんよね。それはどうしてでしょうか。

三谷 「MBA」というのはただの学位の名前です。そして、日本の「MBA」の多くは文科省が2003年に定めた専門職大学院制度に沿ったものです。欧米のMBAに倣った「論文なしで卒業できる」ものなので、専任教員のもとでのゼミもありません。また、「専任教員中心での講義体勢」など、多くの制限があります。私たちはそうではない形でこそ、受講生に高い価値を提供できると考え、いわゆる「MBA」でなく「修士(経営情報)」という学位にしています。K.I.T.虎ノ門大学院が、受講生に提供する価値の最大のものは「教員」です。ともに学ぶクラスメイトはもちろん、ビジネス・エグゼクティブとして抜群の実績がある約40人の専任・客員教員とも、一生つながれるビジネス人脈が得られること。これが大きなメリットなんです。

吉岡 確かに一つの企業で働いていると、いろいろな業界でキャリアを築いている方々と出会うのは難しいですよね。卒業後も教員とつながっていけるとしたら、それは一生のメンターができるようなもの。例えば「企業内で大きな改革を実現したい」とか「ゆくゆくは起業しよう」と思って来ているような人にとっては、これほど心強いものはないでしょうね。そのような、非常に実践的で実利的なビジネススクールに、いま女性の生徒が増えているというのは興味深いです。

「マネジメントをどう学ぶ?」は、マネージャー職の女性に共通の悩み

Business Media 誠 編集長 吉岡綾乃

三谷 意識の高い女性ほど実利的ですよね。女性のためのソーシャルイベントも増えていますし。私は日経BPの課長塾の講師もしていますが、去年からは女性マネージャーのための女性課長塾も立ち上がりました。遠くは北海道から、非常に広域の人たちが集まってくれています。それだけ「スキルを上げたい、人脈をつくりたい、視野を広げたい」と強く思っている女性が増えているのでしょう。

吉岡 その気持ちはよく分かります。女性が上の立場に立っても、マネジメントを教えてくれる上司や先輩があまりいないんです。身近なロールモデルも少ないので、キャリア女性はどうしても手探りになってしまう。私は5年前、ビジネスメディア誠の立ち上げのタイミングで編集長になりましたが、自分もまさにそうで、今もずっと手探りです。

三谷 仲間やロールモデルは必要ですよね。社内に女性のロールモデルがいないというのは、日本の組織の最大の問題かもしれません。ただ、自らのモデルとなり得るのは、必ずしも同じ業界や同じ職業の人だけではありません。どんな業種であろうと、マネージャーが組織をどうマネジメントしていけばいいのかというのは普遍的なテーマだからです。

 私のゼミ生に看護師の女性がいます。彼女はある大学病院の看護局の幹部で、実質的に1000人以上の部下がいる。彼女はそのマネジメントについて独学で勉強していたのですが、限界を感じて去年4月に入学しました。でも、私たちは病院経営の専門家ではないし、彼女が置かれているような状況やケースは想定していませんでした。授業でやるケーススタディは、ソニーのプレイステーションやDELL、ワールドの事例など医療とは関係ない分野ですし、実は心配していました。1カ月くらい経ったころ、「勉強はどうですか」と聞いてみたのです。そうしたら「すごい役に立っています! 違う業界の話でも、使えそうなことがいっぱいです。視野も広がりますし」と言うのです。

吉岡 確かに全く違う業界でも、組織や人を動かしていく根本は、同じですよね。それに違う業界の人達と一緒に学ぶというのは良い刺激になりますし。

三谷 ええ。それに彼女には、何からでも学びを得ようとする意欲がありました。特にキャリア系の女性は、どういう状況でも自分でなんとかしようという"個"としての意識が強いと感じています。

 女性は男性に比べて、そもそも危機感があるし、自分を鍛えることにも関心がある。これはコンサルティング会社で採用活動をしていた時に感じたことです。女性は面接の時、必ず自分を鍛えてから来ますが、男性はありのまま、ノホホンと受けに来る人が多い(笑)。男性の方が危機感がないんですよねぇ。

吉岡 確かに女性は危機感が強いかもしれません。特に30代になると、人生を真面目に考えざるをえないですし。結婚して子供を産んだ後、産休と育休を使って仕事に復帰するのか、子育てをメインにしてパートをするのか。仕事に戻るとしてもきちんと両立できるのか……。どれかを選んで引き受けなくちゃいけない、そういう意味でシビアかも。

三谷 その通りです。そしてそれは、危機感であると同時に、選択肢でもあるんです。男性にはそういう選択肢はあまりないですから。

吉岡 確かに、そう言われてみると、男性には「一生懸命働く」しか選択肢がないかもしれませんね。

 ところで、社会人大学院でそういった知識を吸収したり、仲間ができたりして見方や考え方が変わると、「このまま会社にいていいのかな?」と思う人も出てきますよね。やっぱり、転職したり、起業したりする人が多いのですか。

学んだことを日々の仕事に生かせる、自分のビジネスで実践できる

三谷 ここで学んですぐに転職する方は、それほど多くはありません。会社のなかで活躍する人の方が多いですね。

 ただ、自分でビジネスを立ち上げた女性もいます。その方は自分でアパレルのネット輸入ビジネスをしていましたが、経営に失敗し、再起を賭けて当校に経営を学びにきました。失敗の要因は、海外での商品の調達から物流、販売までサプライチェーンをすべて自分たちで管理していたこと。事業が成功するにつれ、自分たちの得意でない仕事の量が多くなりすぎて、人員が増えてコストも大きくなり、きちんとマネジメントできなくなって、行き詰まり、事業ごと売却することにしました。

 そこで、在学中にここで私たちとブレストしながら立ち上げた次の事業では、事業の範囲を自分たちの得意な「商品企画」と「ネット販売」に限定し、そのほかの範囲はアウトソーシングして、スリム経営で行うことにしました。セグメントもズバリ「夜のお店で働く女性の服」に絞り込んだ。毎日違うドレスを着たいけど、金はかけられない。しかもただ派手な服ではなく、似合っていて異性にウケが良い服がいい。そうしたニッチではあるが共通のニーズを満たす服を企画・販売することに集中した結果、そのサイトは数カ月で月商数千万円になったのです。もちろん、製造や調達はすべてアウトソーシングし、会社は少人数で回しました。ここで学んだことを、そのまま実践で使って成功した好例ですね。

 ほかにも今、実家の不動産会社の経営を良くするために、どういった経営課題があるのかを、我々と一緒に考えている女性もいます。

吉岡 学んだことをすぐビジネスで実践できるというのは、働きながら学校に通う大きなメリットにもなりますよね。会社勤めの方は、今、自分がしている仕事の内容を研究テーマにすることもできるんですか?

三谷 もちろんです。研究の分析に使うデータも会社の許可を得れば、問題ありません。良い結果を出してくれるなら、とデータ提供に協力的な会社もけっこうありますよ。実際にデータを使って、社内の改革プランを作る人もいます。先ほどの大学病院の看護師さんがそうですね。さまざまなアンケートデータなどを駆使して、業務改善提案を練っているところです。

経験、データ分析、勘――あなたは何を根拠に仕事の判断をしていますか?

三谷 ところで吉岡さんは、編集長として新しい企画を立てるとき、記事のページビューを上げるという命題があると思いますが、どんな特集を組むか、どんな企画をやるか、悩んだときにどのように判断していますか。

吉岡 うーん、そもそもほとんど悩んだことがないんですよね。直感でこれは面白いと思ったものや、これは読者に受けるだろうな、と私が思えばその企画をやります。なんだかすごく自信家みたいですけど、変な話、その直感が通じなくなった時にはもう編集長は務まらない、辞めどきだろうと思っていて……。

三谷 直感で成果が出ているのならすごいですよね。さすがです。ただ、私の立場からあえて言うなら、成果が上がっているときこそ、その理由を分析することが大切です。

 例えば、ある記事や話題に対する読者の反応はどうなのか、Twitterでの拡散を見ることで、分析ができます。一部のコアな人にはウケたけどその後の広がりはあったのか、この系統の企画は第2弾まではあるけど、その先の展開もあるのか……そういった分析をしていけば、パターンも見えてきます。

 あと、自分の直感では面白いと思ったのに、結果としてはそれほど広く受けなかったというようなズレが生じた時にも、その原因は何か分かる状態にしておく。そのためには、例えば100人の読者のグループをつくって、反応の拡散の仕方を分析してもいいかもしれませんね。

吉岡 いいときも悪い時も、常に原因が明らかにできるシステムを構築することが大事なんですね。

三谷 ええ。一概には言えませんが、女性の場合男性に比べて分析的なことが得意でなく、直感で仕事をする方が多いようにも感じます。でも「やりたいから」という姿勢だけでは、上司も困る(笑)。通るときもあれば、通らないときも出てきてしまいます。

 この大学院では、新しい提案、分析をするためのデータの集め方やアプローチの仕方も学びます。仕事の“現場”で使える実践練習を、とにかく積んでいく。学んだことを現場で試せるのが本校の強みであり、これはフルタイムでMBAを取る大学院ではできないことです。私がMBAを取りに海外に行っていたときも、仕事の現場からは(語学研修も含め)長いこと離れてしまっている人が多かった。でもそれでは、せっかく学んだ事も机上の空論になってしまいます。

 ここでは、授業で学び、職場で実践したことを、ゼミで集約できるのです。勤めている会社や実家のビジネスの改革案をつくってもいいし、新しいビジネスを立ち上げてもいい。そのためにどうやったらPDCAサイクルを上手く回していけるのか、生徒同士でディスカッションをする。そして何より、経験豊富な教員たちから、直接アドバイスを受けることができます。

吉岡 私自身、今日の先生とのお話の中で、いかに自分が勘と経験に頼っているかがよく分かりました。分析のノウハウを学びに通いたいくらいです(笑)。

三谷 是非どうぞ(笑)! お待ちしていますよ。

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提供:K.I.T.虎ノ門大学院
アイティメディア営業企画/制作:Business Media 誠 編集部/掲載内容有効期限:2014年3月3日