鉄道紀行のカリスマが夢見た「富士登山鉄道」とは杉山淳一の時事日想(3/6 ページ)

» 2013年06月28日 08時18分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

起点は富士急ハイランド駅

 宮脇俊三氏は「富士山鉄道・五合目線」の起点を富士急ハイランド駅とした。「中央自動車道の西側の盛土にそって線路を敷けば、用地取得の苦労も少ないだろう」とある。富士急行と直通運転するため、軌間は1067ミリメートルとし、電圧は1500Vとする。次の駅は「インターチェンジ」そこから「富士スバルランド」までは複線とし、以降は単線で富士山五合目まで単線の線路を敷く。

 富士スバルラインを転用すれば複線もできる。しかし、道路の半分だけ線路として、余った部分は植樹して自然に返そうという案である。宮脇氏は言及していないが、この方式なら、鉄道建設期間中も1車線でバスを使った輸送ができる。

 単線でも列車の運行を増やすために、駅と信号場を増やす。信号場は旅客扱いをしない設備で、列車のすれ違いだけを実施する。JR北海道の石勝線や、神奈川県の江ノ電の駅間でも見かける方式だ。「富士山鉄道・五合目線」の駅は起点の富士急ハイランドを含めて10カ所。信号場は4カ所。両端駅を除くと、中間に12カ所のすれ違い場所ができる。江ノ電なみの12分間隔を想定している。

 宮脇氏が設定した駅と信号場は次の通り。( )は信号場だ。

 富士急ハイランド―インターチェンジ―富士スバルランド―別荘村口―(剣丸尾)―(一合目)―(丸山)―聖母像展望台―(三合目)―幸助山―大沢展望台―奥庭口―奥庭―五合目

 五合目の手前、奥庭は付表では「御庭」、付図では「奥庭」と記載されていて、本文では言及されていない。奥庭口が隣にあり、「口」は入口を示すだろうから、これは「奥庭」が正解だろう。

宮脇案「富士山鉄道 五合目線」をもとにGoogle Mapsで作図。赤い線が線路。ヘアピンカーブを緩和するため、富士スバルラインとは重ならない部分がある。電車マークは駅。ポイントマークは信号場

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