松井:そう思います。不運なときってあるからなあ、人生には。確かにベーシックインカム的な考え方はすごくいいし、再チャレンジできる社会は絶対必要です。
小飼:日本はその意味ではきつい場所かもしれません。あまり生物学的に正しくないですが、民族学的にあってるんだろうなと思うのは、失敗が「穢れ(けがれ)」になっちゃうこと。
松井:ですね。
小飼:最近読んだ『ワイ・コンビネーター』という本で、僕が一番感心したストーリーは主人公のほうではなくて、相棒のモリスのほうなんです。このモリスは悪い意味でのハッカーで、コンピュータ詐欺などで捕まったのですが、いまはMIT(マサチューセッツ工科大学)の教授をしています。こんなケースって、日本であり得ないでしょう。凶悪犯罪扱いではないとはいえ、立派な前科があるわけですよ。
松井:よくFBIがハッキングで捕まった人を雇うとか言うじゃないですか。あれって面白いですよね。
小飼:確かに。
松井:米国と比べると、日本社会は再チャレンジが難しいですよね。
(つづく)
小飼弾(こがい・だん)
東京都出身。1991年12月米カリフォルニア州立大学バークレー校中退。その後帰国し、ネットワーク技術者として活躍。1996年ディーエイエヌを設立し、代表取締役に就任(現任)。1999年オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)の取締役に就任するも、2001年に同社取締役退任。著書に『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)、『空気を読むな、本を読め。小飼弾の頭が強くなる読書法』(イースト・プレス)ほか。Twitterアカウントは「@dankogai」。
松井博(まつい・ひろし)
神奈川県出身。沖電気工業株式会社、アップルジャパン株式会社を経て、2002年に米国アップル本社の開発本部に移籍。iPodやマッキントッシュなどのハードウエア製品の品質保証部のシニアマネージャーとして勤務。2009年に同社退職。ブログ『まつひろのガレージライフ』が好評を博し、著書『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」する』(アスキー新書)を出版。Twitterアカウントは「@Matsuhiro」
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