「ベーシックインカム」は人間を幸せにするのか小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(4)(3/5 ページ)

» 2013年06月28日 08時20分 公開
[野本響子,Business Media 誠]

日本には“隠れた税金”が多い

松井:年金や高速道路の料金なども一種の税金ではないでしょうか。日本って隠れた税金……つまり「税金」って名前が付いてないけど、実は「税金」っていうのが多いんです。

小飼:多いですね。税収が40兆円しかないのに、なぜ国家予算がその倍あるのかというと、社会保障の名目で取っているお金は、税金よりも多いんです。国の懐に入るのは120兆円ほどですが、年金として配っているのが約80兆円、そして残りが約40兆円。そういう意味では、国家財政って破たんしていないんですよ。

松井:米国で社会保障年金を「ソーシャルセキュリティタックス」と言いますが、「確かにタックスだよな。日本は『年金』なんて呼ぶなよ」と思うわけです。米国の高速道路は無料ですが、日本の高速道路料金も税金ですよね。

小飼:これは国に限った話じゃないですが、料金の取り方が細かいんですよ。例えば、電車の料金も細かい。鉄道の料金算定プログラムって10の40乗くらい組み合わせがあって、それがきちんと動くので「スゴいなあ」という人がいますが、むしろ、なんでそんなに細かく設定するのかと思いますね。

 料金という点で、もっとも偉大な発明は英国の郵便料金だと思っています。全国同一料金にしちゃったんですよ。料金設定の仕方そのものは設計であって、デザインなんですよ。

松井:賛成です。あと今の税制は抜け穴が多すぎますよ。

小飼:なぜベーシックインカムの話をしたかというと、これを導入すると抜け穴を少なくすることができるから。一方、なぜいまの税制は抜け穴が多いかというと、累進課税だから。累進にすると、節税という努力が報われてしまうんですね。なにがあろうと2割は税金ということにすれば、節税の甲斐がなくなるでしょう。

松井:自分で会社をつくると、税金から逃れる手段を学ぶんですよ。サラリーマン時代にはなかったツールが増えて、節税できるから努力してしまう。この努力って社会的に考えたら無駄ですよね。いい製品とかサービスつくるほうに努力したほうがいいですよ。

今の税制は抜け穴が多すぎる!? (写真はイメージです)

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