小沢: なるほど、デジタルの要素が一部でも入ったら、それはデジタルマーケティングになるということですね。その実体験というのはありますか?
高畑: 最近、ルイ・ヴィトンの財布を買いました。アーティストの草間弥生さんとのコラボレーション企画をしていますが、たまたまルイ・ヴィトンの路面店の前を通りかかったのです。
実はルイ・ヴィトンというブランドに対して抵抗感がありました。「みんなが持っているブランドだから人と同じになるのが嫌だ、ルイ・ヴィトンは買わないぞ」と、ずっと思っていたのです。でもショールームのデザイン性に引かれて、「これはすごい」と検索をして、最終的にコラボモデルの財布を購入しました。
この体験から何がいいたいのかというと、ルイ・ヴィトンが嫌いな人間は、「ルイ・ヴィトン」というキーワードで検索しないのです。だから、デジタル“だけ”マーケティングでは、私は永久にルイ・ヴィトンの財布を買うことはなかった。オフラインが組み合わさることによって興味を抱き、初めてルイ・ヴィトンという言葉を検索エンジンに入れたのです。これは私にとって非常に革命的なことでした。
小沢: 仮に自分の担当領域がサーチの最適化だとします。その体験からすると、専門領域を踏み越えたところまで考えて、自分の領域を最適化していくってことが必要だということでしょうか。
高畑: デジタルマーケティングで最初にやらなければいけないことは、「人は必ず検索する」という固定概念を捨てることです。当社では検索する前に買うことを決めさせるというマーケティングを行っています。具体的にはオフラインのイベントや、その商品が大好きな人をエバンジェリストを通じて、熱狂的なファンを増やしていく。
つまり「この商品、買った方がいいよ」というクチコミを、オフラインで起こすのです。すると、それを聞いた人が検索するときには「どういうサービスだろう」ではなくて、「あの人が言っていたから買おう」という気持ちになっているのです。
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