米ネット監視システム「PRISM」を暴露した人物、実は中国のスパイかも?伊吹太歩の世界の歩き方(4/4 ページ)

» 2013年06月20日 08時00分 公開
[伊吹太歩,Business Media 誠]
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スノーデンが中国のスパイではないかという疑問

 この騒動は現在も進行中であり、恐らくこれからまたさまざまな新事実や疑惑、陰謀論が出そうな話題であることを考えると、全容と真実が明らかになるのはまだまだ先になりそうだ。いや、残念ながら真実が明らかになる日は来ないかもしれない。

 それでも現時点で分かっていることを鑑みると、どうもスノーデンの動きは中国が喜ぶような点が多い。実はスノーデンが中国側のスパイではないかとの見方も出ている。

 スノーデンは中国の依頼で情報をNSAから盗み出し、中国当局に提供、その上で報道に制限が発生しかねない米メディアより前に英メディアに接触し、その情報を暴露した。それから米メディアも巻き込む。中国当局の保護のもと動けば、米国は簡単には手出しはできないし、身柄も取られない。

 米国のネオコン(新保守派)のボスキャラであるディック・チェイニー前副大統領は、スノーデンが中国のスパイかどうか聞かれてこう語っている。「彼が中国に行ったことが怪しい」。その上で「本当に自由と権利を想い暴露するなら中国には行かない」と指摘した。

 現在行方不明のスノーデンだが、中国側が香港で、顔の割れた白人男性の行方をつかんでいないはずはない。香港と米国は犯罪人身柄引き渡し条約を締結している。だがスノーデンのようなセンシティブなケースは、中国の中央政府マターとなることは間違いない。

 ちなみに協力企業の「職員」がプリズムの情報にアクセスできていたという事実もまた衝撃的だ。つまり、私たちのGmailやHotmailを、よく分からない末端の関係者が手に取るようにのぞき見できる。アクセスできる関係者が、カネに目がくらんで第三者に情報を提供することだってないとはいえない。

 米政府はスノーデンの行方を追っている。スノーデンは5月20日に90日間のビザで香港に入っていることから、ビザが切れる前に、何らかの動きがあるはずだ。まだまだこの騒ぎが収まる気配はない。

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