松井:株主は自分たちの意見を経営に反映できなくなる、ということですね。
小飼:だから僕は「民主主義だからこそ、帝国が強くなったのではないか」という仮説を持っています。
民主主義になればなるほど経営者が強くなるんですよ。結局、株主が増えれば簡単に株主を黙らせることができるようになるんです。
実はローマ帝国でもそうだったんです。なぜローマ帝国が共和国から帝国になったかというと、戦争で勝っているうちに貴族ではない「市民」が強くなったんです。
でもね、当時のローマ皇帝はいまの米国大統領に近くて政治的にボロを出すと暗殺されちゃうんです。民主化すればするほど、主としての勤めは重くなる。民主主義の主は「責任者」ですから、いざというときに首を差し出す怖い存在です。そんな怖い存在にはなりたくない、というのがほとんどの人の本能のはずです。
結局はアメとムチなんです。「お前にiPhoneあげるからオレたちのことは黙って見ていろ」と言えば、たいていの人は黙るんじゃないかな。企業が出す最強のアメは彼らが出す製品そのものですよね。
松井:「こんなにいい製品を安く買えるんだから、まあいっか」みたいなね。
小飼:そう。付け加えれば、帝国の主たちが売ってる主力製品は特権階級のモノではないですよね。多くの人が使うモノなんです。
「企業が出す最強のアメは彼らが出す製品そのもの」という小飼さん (写真と本文は関係ありません)
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