ではなぜ、JR東日本はこのような決断をしたのでしょうか。一般論では、企業の戦略の転換は、主に外部環境の変化に適応するために行われるものと言われています。外部環境の変化というと妙に難しく聞こえますが、例えば「円安」や「株高」という経済的な話や、「高齢化」や「スマホの普及」という社会的な話など、企業の外側で起こっている出来事はそのほとんどが企業の外部環境の変化に該当します。スマホが普及すればスマホに連動したサービスを考える企業が増えるように、企業は外部環境の変化に合わせてそのかじ取りをするのです。
ちなみにJR東日本は線路や駅舎、駅ビルやホテルなど、巨大なインフラを基礎としたビジネスを行っていますから、日々の株価ではなく、より長期的なスパンで見た外部環境の変化を捉えて戦略を練っていると考えられます。
では、JR東日本のクルーズトレインの背景にはどんな環境変化があるでしょうか? 答えはひとつではないと思いますが、ズバリ筆者が想像しているのは人口減、とりわけ「現役世代の減少」という環境変化です。
ご存じの通り、日本の人口は2000年ごろをピークに減少傾向にあります。その一方で、高齢化率は上昇を続けており、現時点ではおおむね4人に1人が高齢者といわれています。
つまり、通勤や通学を目的とした鉄道の利用者は減少しているということです。JR東日本にとっては定期収入の減少が見込まれているのです。
次回は、JR東日本が定期収入の減少に対して、どのような手を打つのかを考えてみます。(眞山徳人)
※この記事は、誠ブログの公認会計士まーやんの「ロジカるつぼ」:JR東日本「豪華寝台列車」を分析してみた(1/2)より転載、編集しています。
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