土肥:なるほど。AとB地区のインフラは整備されているので、住民に不満はありません。特に何かを変えたいというエネルギーがないので、ここからは立候補者は出ませんでした。ということはC地区の市長が、地元にじゃんじゃんお金を回して、「やれ道路だ、やれ橋だ、やれコミュニケーションセンターだ」といった感じでどんどんつくっていけば、やがてC地区の住民はお腹いっぱいになりますよね。そうすると、次にD地区の候補者にチャンスがめぐってくる、ということですか?
野沢:まあまあ落ち着いてください。もう一度、下の図を見ていただけますか?
野沢:ある日、F地区にバイパス道路ができます。その周辺にはマンションや家が建てられ、そして大型のショッピングセンターができます。そうすると、このF地区に近隣住民が住み始めるんですよ。X市に住む次男や三男が結婚して、郊外に住み始める。そうすると、F地区に住む人たちからこんな疑問の声があがってきます。「なぜC地区の予算は多いんだ? これはよくない! 自分たちが住むところは、まだまだ整備されていないところが多いのに」と。
そうした不満の声をくみとったD地区の候補者は、F地区の住民から支持を得て、当選することになるんですよ。
土肥:ほほー、今度はDとFが手を結ぶわけですね。野沢さんの話を聞いていると、心当たりのある街を想像しました。市役所と駅が少し離れていて、郊外にショッピングセンターがあって……あるある。
野沢:で、さらに分かりやすく言うと、C地区の候補者は「保守派」、D地区の候補者が「革新派」ですね。保守派の現職または後継指名をした新人(保守派)が当選すると、まだC地区を開発することが票になる、ということ。逆に、C地区で後継指名をしなかったり、後継指名をした人が負けてしまうと、それまでのやり方を変えたいと思っている人が増えてきた、ということですね。
土肥:ふむ、ふむ。
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