採用のハードルも下がるでしょう。辞めさせられない人の採用に慎重になるのは当然で、正社員採用とパート/アルバイト採用の面接の回数や選考手続きが違うのは、そのせいです。正社員であっても、金銭の支払いによって雇用関係が終了できるのであれば、企業は採用に前向きになるはずです。
若年層の就職難や失業率の高さが問題になっており、これを放置すれば将来的には大きな社会的損失につながるでしょうが、解雇規制を緩和して採用のハードルを下げることは、この問題の解決策のひとつになり得ます。つまり、「解雇規制を緩和すると失業者が増える」とは言い切れず、若年層の正社員雇用が進み、かえって総数としては増加する可能性もあります。
一方、雇用差別を禁じる方向での規制強化も必要です。ひとつは、男女差別の問題。男性しか採用しない会社、女性の管理職や役員がいない会社、女性の業務内容や昇格などに制限を設けている会社は、まだまだたくさんあります。
男女雇用機会均等法の施行から27年が経ちますが、依然として有能な女性を十分に活用できていない状況であり、保育所の拡充といった環境整備だけでなく、採用、登用についての具体的な数値目標と、場合によっては納付金制度を設置するなど、踏み込んだ施策が求められる段階ではないかと考えます。(川口雅裕)
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