コラム
» 2013年06月04日 08時00分 UPDATE

今の50歳代が、不幸な高齢者になるかもしれない理由 (1/2)

「老いの工学研究所」の研究員も務める筆者。5人の高齢者を招いた座談会で最も印象に残ったのは、ある80歳代前半の女性が語った内容だった。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 私は、NPO法人「老いの工学研究所」の研究員をしており、この3月、5人の高齢者をお招きして開催した座談会で進行役を行った。そのとき、最も印象に残ったのは、ある80歳代前半の女性が語った内容だ。

 私が「高齢者が幸福だと感じるかどうかに、何が関係していると思いますか?」と質問したら、彼女は「食べるのに困らないことかなあ。経済的余裕というか……」と答えた。身なりや物腰、雰囲気からして私はてっきり、お金持ちだと思って、「いいお店に出かけて、食事を楽しんだりされるんですか?」と尋ねたら、「そんなのじゃなくて、お米とおみそとおしょうゆがちゃんとあるということ。私達の時代は質素倹約で育ってきたわけだから。ぜいたくしようとは思いません。テレビや雑誌で、お金持ちがぜいたくをしているのを見て、いいなあとは思うけれど、自分も同じようにしたいとか、うらやましいとは全然思わないですね。」と回答された。

 座談会が進んで話を詳しく聞いていると、やはり裕福な人ではあったのだが、世代の違いは大きい。今、十分なお金を持っていて自由に使うことができても、子供のころに徹底された「質素倹約」という考え方や金銭感覚が残っており、米、みそ、しょうゆがあって、食べるのに困らないことが経済的余裕で、ぜいたくしたいとは思わないという。もちろん、高齢者がお金を貯め込んで、消費をしないから景気が良くならないという一面もあるので、質素倹約などと言わず、持っているなら使ってほしいとも思うが、私は別の点に興味が湧いた。

 当研究所のアンケート調査では、現在の高齢者の幸福度(自己評価)はかなり高いが、それは子供のころの不自由な生活が大きく影響しているのではないか、ということだ。子供のころ、食べるものが十分にはなかった、モノにもお金にも恵まれていなかった。だから「それに比べれば今は幸せだ」と感じるのではないか。

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