地域エゴだけで決めていいのか? 日本の骨格、北陸新幹線のルート杉山淳一の時事日想(2/5 ページ)

» 2013年05月31日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

敦賀―大阪間の3ルート問題

 北陸新幹線は東京と大阪を北陸3県経由で結ぶ計画である。前出のように、長野から金沢までは平成26年度末、2015年3月に開業予定だ。また、金沢から福井の先、敦賀駅までの区間も着工されている。敦賀駅延伸開業は平成37年度末、2026年3月までの開業目標だ。ちなみに、その翌年がリニア中央新幹線、東京―名古屋間の開業目標となっている。

 北陸新幹線は、北陸地域の発展のためにつくられていると思われがちだ。実際に北陸地域が受ける恩恵も大きい。しかし、北陸新幹線の重要な意味はもうひとつある。東京と大阪を結ぶ第2の新幹線、つまり、新幹線の二重化である。北陸新幹線計画は、東海道新幹線の開業直後に浮上し、将来の東海道新幹線の混雑緩和、東海地震発生時の迂回路線としても必要だと提唱された。

 東京―大阪間の新幹線二重化は、北陸地域、首都圏、近畿圏のみならず、国にとって必要な事業だ。高速鉄道によって日本の骨格を強固にするという意味合いがある。つまり、北陸新幹線は東京から大阪まで、フル規格の全通に意味がある。

 しかし、北陸新幹線の敦賀―大阪間は着工されていない。それどころか、経由地も正式に決まっていない。現在は「若狭湾沿いの小浜市付近を経由して大阪に至るルート(小浜ルート)」、「琵琶湖の西を経由して京都に至るルート(湖西ルート)」、「琵琶湖の東を経由して米原に至るルート(米原ルート)」が検討されている。

国土交通省が2012年6月29日に工事実施計画の認可・着工を行った区間。敦賀―大阪間は新幹線整備に先駆けて、湖西線を使ったフリーゲージトレインで直通列車の計画がある(出典:国土交通省)

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