だが、関係者によれば、それはあくまでも表向きの話だというのだ。
例えば、XというLCCが日本から欧州までA社の機体を使い、格安便を飛ばすとする。「日本では、A社の扱いに慣れた整備マンが多いが、目的地である欧州ではA社の扱いに慣れないスタッフが中心。日頃扱い慣れたB社の機体のように万全の体制で整備できていないケースがある」(同)。
もちろん、これが全てのLCCに当てはまるわけではない。ただ、同様のケースが本当にあるのか、私は数人の別の航空会社関係社にネタをぶつけてみた。皆、一様に即答は避けたが、複数のLCCの名を指摘した。「某社(メーカー)の機体を扱い慣れた整備マンのサラリーが高騰、極端な人出不足に陥っている会社(LCC)は実在する。本来ならばダブルチェックすべき点検箇所を、一度で済ませている」というのだ。
繰り返しになるが、この原稿は精緻な取材をもとにしたものではない。ただ、長年の取材経験に照らせば、かなり危うい事態が足元で進行している、との感触を得た。
ネタを確認した複数の関係者に打開策を聞いてみた。すると、どのLCCもどんな機体を使っているかを開示しているので、事前に調べて搭乗するのがベターだとか。
安い運賃には、危うい一面が潜んでいる。取材を通じて、私は暗たんたる気持ちになった。
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