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» 2013年05月22日 08時00分 UPDATE

ビジネス英語の歩き方:日本とは違う、住所の書き方に現れる英語圏の世界観 (1/2)

英語で住所を書く場合、日本式とは反対に狭い範囲から書き始めるのはご存じのとおり。住所に限らず、自分の身近なところから主張する欧米人の世界観は随所に見られます。

[河口鴻三,Business Media 誠]

「ビジネス英語の歩き方」とは?

英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。

 →「ビジネス英語の歩き方」バックナンバー


 「ビジネス英語の歩き方」という本連載、普通なら名刺交換でのマナーとか、交渉術、取引の勘所など、「日本人英語はこういうところで間違いがちです、気をつけましょう」というトーンを期待されると思います。確かに大事なことですが、はっきり言ってネットを始め、本屋にもテレビにもラジオにも、そういった「英語モノ」はあふれかえっています。

 そこで本連載では、もう少し視野を広く取って、普段ほとんどの人が気にしない、気がつかない、あるいは分かっていない英語との付き合い方の勘所を取り上げています。というのも、英語の世界観と日本語の世界観はあまりにかけ離れていて、オウム返しのように英会話や英語メールの勉強をしても、なかなか頭の中に定着していかないからです。

 英語をうまく使えるようになるためには、英語と日本語の構造的な違い、世界観の違いなどを理性で整理する力が求められます。これは、こまごまとした表現の間違いを指摘するよりも重要なことです。少し面倒かもしれませんが、お付き合いください。

住所の書き方に現れる英語と日本語の世界観

 このところ、「アドレス」といえばメールアドレスがすぐ頭に浮かぶ人がほとんどだと思います。むしろ「住所」という日本語の方こそ影が薄くなっている感じで、「実住所」とか「リアルアドレス」などと、わざわざ言い変える必要があるケースも少なくありません。

 その実住所。ビジネスでモノを送ったり、手紙を出したりするときには、相手の住所を確認することになりますが、米国をはじめとする海外では、だいたいこんな表記になっています(あくまで架空の住所です)。

300 Green St., New York, NY 10023 U.S.A.

 まず番地があり、次に通りの名前、市、州と来て、最後に国名というのが普通です。日本と米国ではさまざまなものが逆になることが多いのですが、住所はその典型です。この違いは、多分それぞれの世界観、セルフイメージと関係しているのではないでしょうか。

 自分を取り巻く大きな存在から書きはじめ、だんだん自分に近いところを示して、最後に自分の名前を書くと落ち着くのが日本人。反対に、まず自分の名前を書き、次に番地のような細かいところ、最後に州名といった順番で、外に向かって書いていくのが、自我というものを強く意識する欧米流、少なくとも米国のやり方です。

 これは住所だけでなく、会社のポジションの書き方でも同じです。海外の会社の人と会って、名刺を交換すると、たいてい次のように書いてあります(架空の名前、社名です)。

Mark Smith

Production Manager

Global IT Promotions, Inc.

 このように書くことが自然だと思えるのは、まず自分がいて、その次に職務があり、その次に会社が来るという、まず自分ありきという世界観があるからだといえます。これは非常に大きなテーマで、日本人と欧米人の間にある根本的なセルフイメージの違いを象徴しているようです。

 Wikipediaの英語版には「Japanese Addressing System」という項目(参照リンク)があり、文化の違いを緻密に分析しています。日本の住所表記を知ろうとする外国人にとっては、大いに役立っているのでしょう。

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