インタビュー
» 2013年05月17日 11時55分 UPDATE

社長インタビュー:「障がい者主体」ではなく「お客さま主体」――スワンベーカリー・海津歩社長 (1/3)

ダイバーシティが求められる今、企業にとって大きな課題といえるのが障がい者の雇用だ。東京・銀座など全国に28店舗のベーカリーやカフェを展開するスワンでは、社員の約半数に何らかの障がいがあるというが、社員は皆いきいきと働いている。その理由は何か? 海津社長に話を聞いた。

[「月刊総務」編集部]
月刊総務

 焼きたてのおいしいパンが食べられると、雑誌でも度々取り上げられるパン屋「スワンベーカリー」。特に、食事やコーヒー、お酒も楽しめるカフェも併設している赤坂店には、お昼ともなれば1時間に200人ものお客さまが訪れるという盛況ぶりだ。銀座にも直営店があるほか、フランチャイズ方式のチェーン店を全国に27店舗展開している。こう聞くと、よくある“人気のパン屋・カフェ“の印象だが、「スワンベーカリー」には他とは大きく異なるところがある。それは、忙しく働く従業員の半数が身体・精神・知的障がいなどのある人たちだということ。全従業員数504人のうち、7〜8割が知的障がい者だという。(取材・文:鈴木里映 撮影:しだらまさひろ)

障がい者は「戦力」〜民間企業としての経営

ay_swan01.jpg 株式会社スワン代表取締役社長、海津歩さん

編集部 「スワンベーカリー」誕生の経緯を教えて頂けますか。

海津 ヤマト運輸の創業者である故・小倉会長が私財を投じて「ヤマト福祉財団」を設立したことから始まります。1993年当時、月給1万円で障がい者が働いているという現実に愕然とした小倉会長は、障がい者の経済的自立支援を目的に、一般消費者に買ってもらえる、マーケットで売れる商品作りを目指すセミナーを各地で開催していました。そんな中、実行してお手本を示す必要から、焼きたてのおいしいパンを売るお店という構想に行き着きます。「アンデルセン」「リトルマーメイド」を全国に展開するタカキベーカリーの協力を得て、1998年、第1号店である「スワンベーカリー銀座店」が誕生しました。タカキベーカリーの冷凍パン生地を使えば、障がい者でも無理なくパンを焼くことができるとわかり、早速実行に移したのです。

編集部 その後、小倉会長の遺志を継いで、2005年、海津社長が代表取締役に就任されました。現在に至るまで、どのように会社を成長させてきたのでしょう。

海津 以前、ある会社の社長が、「すべての経営者の成功は後日談。私には試行錯誤しかなかった」とおっしゃっていました。この言葉には感銘を受けましたね。まさしく私もそう。過去は振り返れば一本の道ですが、目前には無数の選択肢があり、迷ったり悩んだりしていますから。ただ、社長を引き受けたとき、まず思ったのは、「障がい者主体のお店ではなく、お客さま主体のお店にしなければならない」ということです。それは今も変わりません。ヤマト運輸での経験から、「人々のためになるサービスやビジネス」は必ずうまくいくと信じていました。その理念をスワンにも取り入れていったことが大きかったのかもしれません。

編集部 障がい者の自立支援を目的に作られた会社ではありますが、民間の会社と同じ考えということですね。

海津 特例子会社といえども、黒字にし、利益を出す必要があります。そのために経費を上回る収入を得なければなりません。利益も上がらないような事業で、補助金に頼って会社をやっていても、本当の意味で障がい者を自立させることなんてできるでしょうか。

       1|2|3 次のページへ

Copyright (c) 2017 Nana Corporate Communication All Rights Reserved.

注目のテーマ

ITmedia 総力特集