中土井:まず弱みを自覚し、受け入れることが大切だと。そのあと、開き直りでもなく、引け目でもなくオープンにするにはどうしたらいいのでしょう。
辻井:目指すものが明確であれば、自然とそうなるのではないでしょうか。私は、いちいちリアクトすることによって、ゴールが遠くなったら嫌なんです。自分の感情を発露させることと、ゴールとどちらが大切かと言ったら、それはゴールに決まっているじゃないですか。
リアクトというのは、思考を停止させてしまうものだと思います。実は支社長になる以前、当時の私の上司の上司であった米国の副社長に「Don't react」とよく怒られました(笑)。そんなこともあって、いったん受け止めることを心がけるようになったんです。
弱みについて、恥ずかしいと思うことはいまだによくありますが、自分で認めるようにしたほうがうまくいくという経験は少なくありません。だから、できないときには人に助けてもらえばいいと本気で考えられるようになってきたのかもしれません。
中土井:マネージャーは何でもできるすごい人でなければ、というスーパーマン幻想ってあると思うんですよね。
辻井:みんなの仕事を奪い取っておきながら、「なぜみんな分からないんだ!」という1年目のジレンマですね(関連記事)。多くの人が陥るワナかもしれません。今は、世の中が非常に複雑ですし、何でも自分一人で解決できるわけがないですよ。自分とは違った視点が必要ですし、多くの知識や経験を持っている人がたくさんいるんですから。それから複雑な課題を克服するには、自分自身だけではなく、組織力が必要で、そのためには巻き込む力が必要です。
これは言葉で書くほど簡単ではないですから、できないからと言って落ち込む必要はないと思います。
中土井:最後に、悩める新任マネージャーにメッセージをいただけますか?
辻井:まずは自分を信じてください。自分のことを信じられないのに、人を信じることはできないですから。
中土井:本日はどうもありがとうございました。
(終わり)
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