部下の意識を上げるにはどうすればいい? パタゴニアの事例気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀(3)(3/5 ページ)

» 2013年04月26日 08時00分 公開
[Business Media 誠]

会社と部下との板ばさみ

中土井:お話をうかがっていると、辻井支社長は間に挟まれている人ということではなくて、ご自身が実現したい未来があって、アレンジしているという感覚なのかなと思います。

 多くのマネージャーが苦しんでいる1つには「会社と部下との板ばさみ」になっていることがあると思うんですね。上から下りてきた目標に対して、それを実現させなければならないと考えて、部下に対して接していく。一方、部下の言い分も聞く。自分のゴールからアレンジしたり、デザインすることができないと、マネージャーは苦しいのではないでしょうか。

辻井:そうですね。でも苦しいからと言って、会社側の考えを無視して、自分たちだけでやってしまおうっていうのは危険です。会社の意向とマネージャー自身、マネージャー自身と部下とは絶対連動したほうがいいと思います。

 「板ばさみ」で苦しんでいるとしたら、私ならやはり部下一人ひとりに話を聞くことから始めるのではないかと思います。なぜ働いているのか、どんなことをした時に達成感があるのか、どんな価値観を持っているのか、何が好きなのかなど、そんな会話から始めるかもしれません。

中土井:上層部の立てた目標を的確に分解し、それをコミュニケーションスキルによって部下に納得させるがマネジメントだと思っているケースは多いと思います。でも、自分が大切にしている価値観だったり、実現したい理想に照らし合わせながら、嘘をつかずに部下に接していくことが大切なんですね。

 自分らしくあることと、マネージャーとしてマネジメントしていくことは一般的には難しいと思われていて、「自分らしくいられないので、マネージャーになりません」という人もいます。

辻井:自分らしくいることと、自分の考えを絶対に曲げないことは似て非なるものだと思います。マネージャーに限らず、全てのポジションにはロール(役割)があって責任があります。

 ただ、その中でどうすれば最大限の成果が出せるかと考えると、自分の強みを生かしたほうが、ありきたりのハウツーでやるよりも絶対に高い成果をあげられると思うんです。本心でやっているわけですから。

 制限はありながらも、その中で生かせる自分の強みがあると思います。1つでも、その強みを最大限に使っていられれば、「自分らしい」と言えますよね。

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