サラリーマンを喰い尽くす、“タガメ女”ってナニ?窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2013年04月23日 08時01分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

日本は「男の自殺大国」

 そんなエイリアンみたいな捕食をするタガメの姿と、専業主婦を重ねるなんて許せない。こんな本は徹底的にこきおろしてやる、と思う気持ちもよく分かる。

 ただ、個人的にはこのタガメとカエルの関係、深尾さんが言うように「男と女の関係と似ている」ような気がしなくもない。というのも、周囲にいる同世代のサラリーマンを見渡せば、カエルみたいな男があふれているからだ。

 奥さんから財布のヒモをガッチリと握られ、1日の小遣いは500円。結婚当初は家庭という「箍」にハメられるのに抵抗し、バタバタともがいていたが、最近は携帯メールを常に気にしており、みんなで飲んでいても、いつの間にやら帰路についている。

 飲んでもずいぶんグチっぽい。おまけに、えらく達観してきて、「人生なんてそんなものさ」とか「なんだかんだ言ってもサラリーマンはラクだからな」とか口走る。かつて作家の村上龍さんが言ったように、しょせん自分は「消耗品」という悟りに到達しているかのようだ。

 目はうつろで、明らかに20代に比べて思い悩んでいるように見えるのに、口をそろえて「幸せ」だと言う。彼らの首根っこに実は「嘴」が刺さっていて、奥さんからいろんなものをチューチュー吸われていている、と言われても不思議ではない。

 なぜかというと、そんな悟りの境地に達した男たちの末路が、骨と皮だけになったカエルと妙に重なっているからだ。

 例えば、日本は年間3万人近くが自殺をすることから「自殺大国」なんて言われているが、実はこれは正確ではない。

 自殺をしているのは男が圧倒的に多い。過去30年のデータを見ても、女性の自殺者はほとんど横ばいだ。つまり正しくは、日本は男の自殺者だけが増えている「男の自殺大国」なのだ。

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