安倍首相が正式要請! 就活解禁が3カ月後ろ倒しになると何が起きる?サカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2013年04月22日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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新卒採用が苦手な企業との出会いの演出ができるのか

 本稿の最初に「就活生は知らない企業」について書きました。ここに属している企業が、採用広報活動の期間が短縮されることによって最も割を食う企業になるでしょう。彼らは今までも企業としては実力があるのに知名度がないという理由で採用に苦戦してきたという経緯があります。採用広報にある程度の時間を割くことができれば、就活生との接点も増やせますし、応募者の数や質を揃えることも可能になります。が、その期間が短くなれば、就活生に自社のことを紹介する時間も足りなくなり、結果的に知名度がない企業ほど「誰にも顧みられない」という惨事が起きてしまうのです。

 「そんなのは就活生がきちんと調べれば済むはず」と怒る人も出てくるでしょう。ネットで調べればほとんど分かるじゃないかとうそぶく人もいるはずです。が、自分の身に置き換えてみてください。大学卒業時点で「まったく知らない職種や業種」の情報を集めて「よし、ここに入社したい」と思えたでしょうか。見たこともない製品、聞いたこともないサービス、存在さえ知らなかったビジネスについて、詳しく知る時間もなく「ここで働こう」と決めさせることには、やはり無理があるのです。その苦境に手をこまねいていてはならないとばかりに、企業によっては「あ、その手があったのか」という手法を見つけ出し、就活生に「自社を知ってもらう活動」をするでしょう。建前としての採用広報活動は決められた日時に開始するでしょうけど。

 その企業たちの動きに気がついている就活生は有利になり、就活は後ろ倒しになったのでとのんびり構えていた学生は、就活生になった途端、実は差がついてしまっていることに愕然とするでしょう。期間が短くなればなるほど、出遅れた就活生たちは、結果的に「知っている企業」つまり、知名度がある企業を選びがちです。しかし、そこでは競争が激しく結果的に上手くいかない。選考のタイミングもドンドン重なってきますから、以前の就活なら、続けるうちに偶然知ったはずの、もしくはビジネス社会に関する知識が増えることによって視野が広がって出会えたはずの、知名度が高くない企業たちとも出会えなくなるのです。

 企業の採用担当者たちは、このあたりの問題を解決するための方法を早急に考える必要に迫られています。そして、それらを考えている時間は余り残されていないのが、正直なところ。だからというのは変ですが、新卒採用は、ある意味で「画一化」した状況を脱するチャンスともいえるのです。

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