AppleがiOS 6の目玉サービスの1つとして発表した「Passbook」。航空券やチケット、財布の中で増え続けるクーポンやストアカードを電子化し、1つのアプリで管理できるようにするというこのサービスは、利便性やバイラル効果の高さに、iOS端末のユーザー基盤の大きさも手伝って、店舗や企業の注目を集めている。
しかし、導入にあたってはハードルもある。その1つが、Passbook対応コンテンツの生成/配信の難しさだ。クーポンやチケットはAppleが指定しているPassbookの仕様に沿った形で開発する必要があり、配信についても効果を最大化するためには細かな配慮が必要になる。現状ではiOSやWeb開発の知識がないと導入しづらいことから、それを支援するシステムが各社から相次いで登場している。
ソフトバンクモバイルも、Passbookの導入支援に乗り出した1社だ。2012年の12月に、ブレスサービスが開発したコンテンツ生成/配信ソリューション「CORE PASS」の提供を開始。会員5000人までのクーポンとストアカードの発行についてはシステムの月額利用料を無料とするなど、思い切った戦略を打ち出して注目を集めた。
3月下旬に銀座でキャンペーンを実施するなど、認知向上と対応店舗拡大に力を入れているソフトバンクモバイルのPassbookへの取り組みについて、同社マーケティング本部 MIB統括部 アドビジネス推進部の部長を務める松田忠浩氏に聞いた。
―― AppleのPassbookに注目が集まっています。企業はPassbookのどこを評価しているのでしょうか。
ソフトバンクモバイル 松田忠浩氏(以下、松田氏) これまで企業とユーザーとのコミュニケーションはEメールが中心で、メルマガ会員を募集する形でプロモーション展開してきた企業が多いのですが、最近では以前に比べてメールが読まれなくなっています。それに代わるプロモーション手段として店舗が関心を持っているのではないでしょうか。
Passbookアプリは、(iOS 6端末なら)端末にプリインストールされているので、ユーザーから見て導入のハードルが低く、Appleの純正アプリなので削除されることもありません。これは大きなポイントです。
情報はプッシュ通知で画面上に表示されるためユーザーが気づきやすいですし、位置情報を使った通知もできるので、ユーザーが店舗に近づいたらクーポンをプッシュ配信するなど自然な流れで情報を提供できます。また、ユーザーからみても、Eメールの会員登録をするときのような「メールアドレスを入れて名前を入れて……」といった手間がかからず、サイトに表示されたPassの追加ボタンをタップするだけですむのは利便性が高い。ユーザーとのコミュニケーションを強めたい企業はすぐにやりたいと考えており、関心を持っている企業は多いですね。
―― 思い切った施策で注目を集めたCORE PASSですが、現在の採用実績はどれくらいですか。
松田氏 私たちはグループをあげてO2O(Online to Offline、ネットの情報と実店舗への集客を連携させる取り組み)ビジネスに力を入れておりまして、AppleのPassbook向けクーポン配信システムのCORE PASSに対する取り組みも強化しています。12月のサービス発表以来、さまざまな分野の企業から問い合わせをいただいており、HIS、サークルKサンクス、ニッセン、ドクターシーラボ、タカラトミーなどの大手企業10社に採用されました。2013年度中には、採用企業を100社に増やしたいと考えています。
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