人の心をつかむ、「エレベータースピーチ」とはネイティブに伝わるビジネス英語(3/4 ページ)

» 2013年04月12日 08時00分 公開
[デイビッド・セイン,Business Media 誠]

スティーブ・ジョブスは優秀なプレゼンテーター

 エレベータースピーチは、まさにショートサイズのプレゼンテーション(プレゼン)といってもいいでしょう。プレゼンという言葉を聞くと腰がひける人がいるかもしれませんが、エレベータースピーチを成功させるには、あなたも立派なプレゼンテーターになる必要があります。スライドやパワーポイントなどの道具に頼らない、言葉だけのプレゼンのコツをおさえましょう。

 2011年10月5日に亡くなったアップル社の創業者であり、元CEOのスティーブ・ジョブスは、独創的なアイデアだけでなく、聴衆を魅了することに長けたプレゼンテーターとしても知られています。「スティーブノート」と言われた彼の基調講演には、よい席を確保するために真冬でも徹夜で並ぶ人がいたそうです。

 彼の講演の魅力は、ちみつに構成されたシナリオに沿って示される印象的なメッセージにあります。

 「宇宙に衝撃を与えたい」

 「今日、アップルが電話を再開発する」

 「僕にとってコンピュータというのは、人類が考えた最高のツールだ。知性の自転車といったところかな」

 「このチップからすばらしい音が生まれる」

 「iPodより高価なスニーカーもある」

 「画面にはとても見た目のよいボタンを配した。思わずなめたくなるだろう」

 彼が残した名言をいくつか並べてみましたが、どれも短いフレーズで商品の魅力を的確に伝える、広告コピーに匹敵するメッセージ力があります。こうした言葉を、初対面の人から投げかけられたらどうでしょうか? 恐らく、それだけで無視できなくなるはずです。誰もがもう一度会ってもっと話を聞きたいと思うのではないでしょうか。これが限られたわずかな時間で人を引きつける言葉の力です。

 スティーブ・ジョブスのメッセージは、アドリブで生まれた言葉ではありません。計算し尽くされた言葉なのです。例えば広告コピーは、書いてしまうとただの短いフレーズですが、このフレーズが生まれるまでには、商品のメリットを徹底的に考え、ターゲット層を研究分析し、何度もメッセージを書き換えながらブラッシュアップしていく作業が何度も繰り返されています。そして、この作業こそが、短い時間で人を引きつけるエレベーター・スピーチの準備にも必要なのです。

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