北総鉄道と同じ轍を踏む? 日本一安い運賃「北大阪急行電鉄」が値上げする日杉山淳一の時事日想(3/6 ページ)

» 2013年04月12日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

箕面市への延伸計画は40年以上の悲願

 その北大阪急行電鉄には延伸計画があって、千里ニュータウンの北部にある箕面市が要望している。その歴史は古く、構想としては40年以上前の北大阪急行電鉄計画時代からあったという。1985年の第三次箕面市総合計画に盛り込まれている(参照リンク)。2010年には箕面市などが設置した北大阪急行線延伸検討委によって、第三セクターで建設し、2018年開業をめざすと報じられた。

 計画では、千里中央からいったん北西へ線路を伸ばし、国道423号(新御堂筋)の直下に地下鉄道として建設する。路線延長は2.5キロメートル。終点駅は国道171号線と交差する萱野交差点の北側、現在はバス停「かやの中央」がある地上部分。仮駅名は「新箕面」。隣接する市立の立体駐車場ビルを解体し、駅舎や駅前広場を整備する計画だ。また、途中駅は1つ。新船場北橋と新船場南橋の交差点の間に予定されている。仮駅名は「箕面船場」。ここは大阪船場繊維卸商団地に隣接しており、同団地と再整備計画の話し合いが進められている。

延伸計画。赤が延伸部分。青が現在の北大阪急行電鉄の線路(出典:Google Maps)

 新箕面駅周辺は、箕面市が箕面新都心として開発し、大型ショッピングセンター「箕面マーケットパーク・ヴィソラ」を中心としてにぎわいを見せている。住宅も多いが、幹線道路から離れたところは田畑も多い。ベッドタウンとしても成長が見込める地域だ。新船場地区は、大阪中心部の伝統的な商業地域から繊維問屋街が移転したところ。現在は物流団地となっている。この駅予定地付近も再整備の対象となっており、トラック専門の街から徒歩と共栄する街へと転換する方針だ。箕面市は中心施設として同駅と直結する形で国立循環器病研究センターを誘致している。

 箕面市の資料は細部まで整っており、構想を裏付ける統計データも多い。また、国の社会資本整備総合交付金制度を活用できるとして、国から費用補助が従来の3割から5割になる見通しがたった。これで、採算分岐点が大きく下がり、阪急箕面線と同程度の1日当たり3万5000〜4万人になったという。さらに一歩進んだ形である。

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