さらに、楽曲の提供方法でも新たなチャレンジをした。今回の音楽部分はソニーの定額制音楽サービス「Music Unlimited」からストリーミングという形で提供される。これにより、権利処理が複雑になるダウンロード提供よりも多くの楽曲が提供できる(単純計算で10曲×57年分の570曲)だけではなく、ソーシャルメディアを使っての「拡散」「シェア」が容易になるのだ。
「『ブランドとしての歴史を大事にする』という価値を、どうやって展開するのか、キャンペーン化するのかは大変でしたけれども、同時にそれはやりがいでもありました。長く売り続けた歴史の重みと、音楽の新しい楽しみ方である“シェア”という新規性。この2つのバランスを重視しました」(小林さん)
ソーシャルメディアでの反応は、日本コカ・コーラ社内でも毎日トラッキングしている。従来型のお仕着せPRではなく、消費者が消費者目線で、自分たちの言葉でコカ・コーラの感想が広がっていく。「ソーシャルメディアの活用の結果がどうなるのかについて、最高から最低までのありとあらゆるシミュレーションをして、その対策も考えました。今のところ、“ベストなシナリオ”どおりに進んでいて、感想が自主的に広まっていくというソーシャルメディアのパワーを実感しています」
ほかにも、ボトルを手にしてから音楽を聴くまでの導線をできるだけ短く、分かりやすくできるかという挑戦もあった。音楽を聴くために専用のアプリをダウンロードさせることなく、コードを入力して1タップするだけで音楽が再生される。Twitter、Facebook、mixiへのシェアも簡単だ(シェアという意味ではLINEが未対応なのは残念だが)。
前出のように、年が書かれたラベルは57種類存在する。もちろん、すべてのラベルを取りそろえられる店舗は少ないだろう。ちなみに小林さんによれば「もし希望の年代ラベルのパッケージが見つからなくても、cocacola.jpにアクセスしていただけると、希望の年代のプレイリストをゲットできますので、ご安心を」とこのとだ。
本キャンペーンは3月からスタート。コカ・コーラのキャンペーンとしては長期の取り組みとなる4カ月間という規模で開催する。最初の2カ月は導入として、このキャンペーンを知ってもらうというステージだ。音楽を聴いて、それで終わりにならないよう、飲んでもらいながら楽しんでもらうために、多くのチャレンジが隠されていた。
青春時代に聴いていた音楽は、いま聴いても輝いているだろう。オフタイムにコカ・コーラのボトルを見つけたときには、このキャンペーンのことを思い出し、パッケージを手に取ってみてほしい――ただし、お目当てのラベルを見つけるのは苦労するかも。それを探すのもまた楽しいキャンペーンだ。
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