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» 2013年04月10日 08時00分 UPDATE

ビジネス英語の歩き方:英語の中の「中国語」とどう付き合うか? (1/3)

北京や上海といった大都市以外の中国の都市名や人名を、日本人は漢字の日本語読みで覚えています。ところがビジネス英語の中に登場する中国語は、元の中国語の音で出てくるから困ってしまいます。

[河口鴻三,Business Media 誠]

「ビジネス英語の歩き方」とは?

英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。

 →「ビジネス英語の歩き方」バックナンバー


 前回は、日本語(特に社名、地名、個人名など)のローマ字表記が、いかに多くの間違いを海外にまき散らしているかという話(参照記事)を書きました。日本のローマ字表記は単純なケースしか想定していないため、使い物にならないというのが筆者の実感です。おそらく、同じように感じている読者も多かったために、ツイッタ―などでたくさん取り上げられたのだろうと思います。

 実際、日本人の名前、社名、商品名などのローマ字表記は、なかなか問題が多く、ほかならぬ日本が、これから相当工夫、努力しなくてはいけない課題です。課題の中心には日本語における母音の使い方があります。複数の母音が続くと、外国人にとって非常に読みにくくなるのです。

 例えば大江健三郎氏などは、Oe Kenzaburoとご自身でも書いておられるので、初めてこの名前に接する外国人は、大いに戸惑うものと思います。さすがにノーベル賞を取ったあとは、「オオエ」と読まれることが多くなったようですが。

日本人名の中国語読み、シャンゾン・シェンミさんて誰?

 今回は、このごろ英語の中に頻繁に出てくる「中国語」への対処法について考えていきますが、その前に日本語と中国語の間に横たわる障壁について触れたいと思います。例えば、同じくノーベル賞受賞者の山中伸弥教授。この表記を中国人が読むと、なまじ「漢字」を使うために、まったく違う音になってしまうのです。

 ちなみに、Google 翻訳の読み上げ機能に「山中伸弥」といれて、中国語読み上げ機能を使ってみましょう。シャンゾン・シェンミと聞こえます。

 中国人との会話で「シャンゾン・シェンミってすごいね」といわれたとしても、これで山中伸弥氏を想像しろというのは、どだい無理な話です。しかし中国では、同じ「山中伸弥」に相当する漢字(簡体字)が使われるため、こんな面倒なことが起こるのです。日本でも中国でも、超有名なシャンカオ・バイホイという人の日本名は何でしょうか? 山口百恵さんです。

 もっとも中国が悪いというわけではありません。日本人も同じことをやっています。

 例えば、近代中国の覚醒を促した偉大な作家、魯迅(1881-1936)。日本では「ロジン」と呼ばれています。「阿Q正伝」「狂人日記」のような寓意(ぐうい)に満ちた小説を書いて、西洋の侵略になすすべを知らなかった当時の中国、あるいは広くアジアに警告を発し続けました。日本にも留学し「藤野先生」という恩師との交流を描いた作品でも知られています。

 しかしこの作家のことを中国人と話そうと思っても、会話だけで相手に分からせるのは容易ではありません。「ロジン」では相手はきょとんとするだけでしょう。何故ならば「ルーシュン」が、魯迅の本来の音だからです。

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