プロセスAの「書く」で触れた「適切な問い」のヒントとしても使えるのがこのプロセスBです。
ゲームに負けると「悔しい!」「あいつのせいで!」と感情的になるかもしれません。これ自体は真剣に取り組んでいればこそ、という面もあるのでよいのですが、そこで終わってはもったいないです。人と現象を分けて、「成果を分けるプロセスで、何が起こっていたのか」という事実に目を向けます。
現象の因果関係を抽象化し、ルールを見出します。また、そのルールから、自身の日常ではどのように振る舞うべきかを検討します。抽象化にあたってのポイントは、自分すら一般化して考えることです。
例えば「自分は……」というよりは、「人は、時間的余裕がない中で、(交渉相手からの)限られた選択肢を突きつけられると、どれを選んでも最適でないことに気付かない場合がある」という具合です。
こうすることで、似た状況に置かれた際にも「時間的制約の適切さ」や「相手のつくった選択肢の適切さ」に目を向ける習慣を持てるでしょうし、解決しないまでも「これは最適な判断をしづらい状況だ」と自覚することもできます。
また、単純にルールに憶えやすい(できれば魅力的な)名前を付けるのも記憶、定着するコツになります。
学者と異なるビジネスパーソンにとって、万能なルールを見つけるのは難しいものです。ましてや、たくさんの課題を抱える人には、完全性を求めるよりも、そこそこ使えるツールを、より多く発見することが時間対効果として有効なことが多いでしょう。
そこで「でも、こんなときは違うかもな」と万能なルールづくりに逡巡するよりも「こんなときは使えないな/こんなときしか使えないな」と適用範囲を設定して、万能さよりも実効性を高めることをお勧めしています。
今回紹介した日々の体験から学ぶ方法は、自然と「書く」で始まり、コメントも受けられるSNSやブログとも相性がよいです。その際にポイントとなるのは、何よりも学びを目的としていることを強く意識することであり、その方法として2つのサイクルを実践することです。
放置系OJT(お任せ・ジョブ・トレーニング)と同様、社内SNSをやりっぱなしにしないためのヒントにもなるのではないでしょうか。さまざまなSNSツールが開発、提供されていますが、機能が少ない無料ツールでも施策の設計思想と運用で十分カバーできます。
また、これらのことは文字にすることは簡単ですが、実は行動に移すことも難しいことではありません。同僚とのランチや飲み会のときにでも、雑談混じりにオリジナルのビジネス版マーフィーの法則でも考えるところから始めてみてはいかがでしょうか。
本稿を参考にした小さな行動の積み重ねが、みなさんの成長の一助となればとてもうれしいです。(柳田善弘)
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