就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。
使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。
クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』、『就職のオキテ』がある。
個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントに辛いです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata。
「さあ綾乃さん、撮影してください」先日、編集長の吉岡綾乃さんとランチミーティングをしていたときのこと。美味そうな沖縄そばが運ばれてきたので撮影するように促すと「あれ、私、カメラ忘れてきたかも……」と言うのです。
いやいやあなた、このコラムの冒頭の写真を撮影するために集まっているのに(嘘です。本当はちゃんと議題がありました)カメラを忘れるなんて……と私がブツブツ文句を言っていると「食事のときに、いつもカメラを持っているわけじゃないですよ」と、綾乃さんにちょっとムッとされてしまいました。そう言いながらiPod touchで沖縄そばを撮影している綾乃さんの姿を見て「できて当たり前」という話を思い出していたのです。
先日、ある女性の就職相談に乗りました。その女性は35歳。芸術系の大学を卒業し、そのままその道に進みました。年に数回は人前で披露する機会を得るほどの腕前でしたが、残念ながら専業というわけにはいかず、ずっと時間的にも融通の利く仕事をしながら、一生懸命その道に打ち込んできたのだといいます。練習内容を聞くと確かに大変な努力。ただ、それだけ打ち込んできたとしても「ご飯が食べられるレベル」には達しなかったのです。ここらが潮時ということで別の道を歩もうと決心。そこで、就職活動を開始したというわけです。35歳、正社員としての勤務経験なし。パッと聞いただけでも就職が大変なことは想像がつきますよね。
本人も自覚していたのか、ビジネス系の資格をいくつか取得。対策は立てていたつもりでしたが、世間の風はとても冷たい。書類をたくさん出しても、ほとんどが門前払いですし、就職斡旋の会社にたくさん登録してみても、仕事はほとんど紹介されず。働いた経験がゼロというわけではなく、家でぼんやりして何も頑張ってこなかった、というわけでもない。その道を究めようと努力して、なおかつ、食べるために仕事もしていたのです。けれども、いざ就職しようと思い立った途端、いままでやってきたことが評価されない、ということになってしまったのです。
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