私たちの社会は自然災害に対して少しは安全になったのか?藤田正美の時事日想(3/4 ページ)

» 2013年04月08日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

 いつも疑問に思うのだが、市町村や東京の特別区のような基礎自治体に「適正規模」というものはあるのだろうか。大阪市の橋下市長が「大阪都構想」を打ち出したとき、その考え方に共鳴したのは大阪市を特別区に分割するというところだった。270万人弱の人口を抱えていては、市民のニーズに本当にこたえることはできないと橋下徹氏は語っていたのである。

 「横浜市は分割すべきではないか」という疑問をいろいろぶつけてみると、片山片山善博元総務大臣は、「明らかに大きすぎる。15万とか20万で分割すべきだ」と言った。林文子現横浜市長からはこう反論された。「そんなことをすれば豊かな区と貧しい区ができて行政に格差が生じる」

 もしこの議論が正しいのなら、市民に最も公平な基礎自治体は「国」ということになりはしないか。つまり国という大きな公共体が税金を集めて、それで行政経費を賄い、人々に行政サービスを行うのが最も格差が少ない方法ということになる。要するに、基礎自治体は必要ないということである。

 なぜ基礎自治体が必要なのか。それは人々の日々の生活に密着したところでなければ、本当に必要な行政サービスが不可能だからだ。もちろん市民から選ばれる首長が、その行政のトップに座ることで、より市民に近いサービスを行うことができる。その意味では、おのずから適正規模というものがあるだろう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.