私たちの社会は自然災害に対して少しは安全になったのか?藤田正美の時事日想(1/4 ページ)

» 2013年04月08日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 あの3.11 東日本大震災は、日本中に衝撃を与えた。私たちの社会はあまりにもひよわで、自然の猛威の前になすすべがなかった。しかし本当の問題はそこにはない。福島第一原発がメルトダウンを起こしたとき、「想定外」とか「絶対」という言葉で、いかに多くのことが見過ごされてきたのかを初めて知った。

 それこそが問題であり、私たちはリスクをどう軽減するのか、リスクをどうコントロールするのか、それが重要であることをいやというほど思い知ったはずだった。減災という言葉ができたことにそれが表れていたはずだ。

 それから2年、私たちの社会は少しは安全になったのだろうか。安倍政権が言う「国土強靱化」はもちろんまだ実行に移されたわけではない。しかし東海、東南海、南海のいわゆる3連動の地震はいつ起きてもおかしくない。それによって引き起こされる可能性がある大津波は、今までの想定をはるかに超える大きさになると警告されている。

 そして先週末(4月6日から7日)、日本各地は大荒れの天気となった。私が住んでいる横浜市でも大雨の影響で河川が氾濫寸前となった。日産スタジアムがある新横浜公園は、遊水池として設計されているが、大雨で鶴見川から水が流れ込んだ。きれいに張られた芝や整備されたグラウンド、ドッグランなどが元通りに使えるようになるには、多くの人手と時間がかかる。

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