耐震性を考えて「自由な間取り」にしませんか――身の丈に合った住宅選び(2/3 ページ)

» 2013年04月11日 08時00分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]

耐震性と引き換えにあきらめなくてはならないものがある?

 東日本大震災を機に、住宅に対する考え方に変化はあったのだろうか。竹下氏は言う。

 「今、中古物件の人気が高まっているのも、東日本大震災のときの混乱を教訓にして、より家の立地に気を遣う人が増えてきたという背景があります。また注文住宅に関しても、耐震性の確保はもちろんのこと、長期優良住宅認定に対する関心も高まってきていると感じます」

 ちなみに現在、大手のハウスメーカーや工務店の多くでは、自社で手掛ける注文住宅が、建物の耐震性を示す基準「耐震等級」の最高レベル「等級3」を満たしていることを謳(うた)っている。そのため一見すると、地震対策の観点から見た注文住宅選びには、今のところ特に問題はないように思える。しかし一般的には、木造住宅の耐震性を高めるためには、構造上いくつかの制約を課す必要がある。例えば、一般的な工法では、建物の耐震性を高めるには耐力壁を設置する必要があるため、どうしても間取りに制約が生じてしまう。

 実際のところ、独自の耐震工法技術を供給している株式会社NCN(以下、NCN)が行ったアンケート調査によると、住宅購入者の約半数が、耐震性を確保する代わりに「広さ、部屋数、間取り」「デザイン」「将来掛かるメンテナンス費用」といった点を妥協せざるを得なかったと回答している。同様の認識は、注文住宅を建てたいと考える人々の間では一般的になりつつあるようだ。

約半数の人が、何かをあきらめて「耐震性」を確保している(出典:NCN)

 こうした妥協を「妥当なもの」と考えるか否かは、最終的には個人の価値観に帰する問題だろうが、そもそも「自分と家族がより快適に人間らしい生活を営めるように」と願って建てる家が、工法上の制約によりその快適性が損なわれてしまったのでは、本末転倒だと考える人も少なくないだろう。

 ちなみにNCNでは、こうした制約を大幅に取り払いつつ、同時に高い耐震性を備えることができる独自の工法「SE構法」を提供している。SE構法とは、集成材を、独自の専用金物「SE金物」で接合し、必要最低限の耐力壁をバランス良く設置することで高耐震性を実現する工法だ。このため耐力壁で住宅内のスペースがむりやり分割されることがなく、間取りの自由度が極めて高い。大きな間取りを取りたいような場合には、かなり有利になるだろう。

 またCADソフトウェアを使い、木造住宅であっても大規模建造物と同等の構造計算ができる。木造2階建て建造物では法制度上は不要とされている構造計算だが、SE構法ではこれを必ず実施している。

 さらには、最長で20年間の性能保証を付けることが可能になっているため、家を建てる側にとってみれば、かなりのレベルの安心感が得られそうだ。実際、SE構法は数多くのハウスビルダーや工務店に採用されており、既に多数の木造注文住宅で実績を挙げているという。

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