耐震性を考えて「自由な間取り」にしませんか――身の丈に合った住宅選び(1/3 ページ)

» 2013年04月11日 08時00分 公開
[吉村哲樹,Business Media 誠]
ファイナンシャルプランナーの竹下さくら氏

 住宅やマンションの購入を検討している人にとって、今は何かと悩ましいタイミングかもしれない。というのは、近く消費税率アップが控えているからだ。不動産業界の動向に詳しい、ファイナンシャルプランナー(FP)の竹下さくら氏の下には、最近、消費税率アップを見越して住宅購入の相談に訪れる人が後を絶たないという。

 「例年では、1〜3月は在庫整理で不動産物件の相場も下がる傾向にあるのですが、今年はあまり値段が下がっていません。やはり消費税率アップの憶測を背景に、市場の動きが活発になっているのだと思います。特に一戸建ての注文住宅の場合、税率アップ後の物件引渡しになると支払額が増えますから、その前に建てようとしている人たちが多いのでしょう」

 なお、1997年に消費税の税率が3%から5%にアップした際には、その半年前までに請負契約を済ませれば、たとえ引渡しが税率アップ後でも旧税率(3%)が適用されるという特例が認められた。今回の増税案に関しては、まだその実施時期が明確に決まったわけではないが、もし同じ制度が今回も適用されるとすれば、2014年4月からの施行と仮定すると、今年9月末までの請負契約分には旧税率が適用される。これを見込んで、早めに動き出している住宅建築希望者が少なくないようだ。

 また竹下氏は、金利の動向も決して無視できないと指摘する。

 「景気回復の兆しが見えてきたことから、金利の上昇も予想されます。当然、金利が上がれば、住宅ローンの支払い額も変わってきます。ほんの0.2%程度の上昇でも支払い総額に大きく影響してきますから、住宅購入を検討している人にとってはインパクトが大きいでしょう。そのためここ最近では、現在の金利水準や消費税率ですぐに購入できる中古物件に人気が集まる傾向が見られます」

 ただし、こうした外部要因はさまざまあるものの、短期的なトレンドにあまり左右されず、長期的な観点から堅実に住宅購入を計画している人たちも昔と変わらず一定数いるという。

 「賃貸物件の家賃支払いと天秤にかけながら、短期的な資産価値の観点からマンションや建売住宅の購入を検討する層がいる一方で、自分と家族のライフプランを長期的に考えながら、より人間的で快適な暮らしが送れる注文住宅を計画的に建てる層もいます。この両者の違いは、どちらがいい・悪いではなく、あくまでも個人の価値観の問題ですが、FPの立場から言えば、計画的な住宅購入は、先々のことを考えればいい選択だと考えます。というのは、将来退職した時点で賃貸住まいでは、家賃支払いの負担がのしかかるだけでなく、保証人の問題もあり、そもそも高齢者であるというだけで優良な賃貸物件を借りるのが難しくなってきます。こうしたことを見越して、可能であれば、返済能力がある現役のうちに住宅を購入することをオススメしています」

 ただ同時に「決して無理をしてはいけない」とも竹下氏は述べる。特に近年では、若い世代の中に、リスクの高い返済計画を組んで住宅を購入してしまう例が多いという。「持ち家も不動産投資の一部ですから、リスクは決して低くありません。収入が不安定な人は、やはり手を出さない方が無難でしょう」

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