なぜ北総線の運賃は高いのか “円満解決”の方法を考える杉山淳一の時事日想(5/6 ページ)

» 2013年04月05日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

成田スカイアクセスはなぜ安いか

 原告団が北総鉄道の運賃が高いと主張した根拠に、成田スカイアクセスの運賃が安すぎるという事実がある。京成電鉄が主体となる成田スカイアクセスは、北総鉄道を含むルートを運行し、北総鉄道など線路保有会社に線路使用料を支払っている。その日暮里―成田空港間の運賃は1200円だ。一方、途中にある北総鉄道の印旛日本医大までの運賃は1030円。遠く成田空港まで乗っても差額は170円だけ。だから「北総鉄道は短距離なのに割高」というわけだ。

 これは逆に、印旛日本医大から成田空港までの運賃が安すぎるとも言える。その理由のひとつは、京成電鉄が成田スカイアクセスに関する建設費を負担していないからだ。スカイライナーの京成高砂から成田空港までは、線路使用料を払って運行している。印旛日本医大から空港付近までは成田高速鉄道アクセスが保有する線路、空港敷地内は成田空港高速鉄道が保有する。成田高速鉄道アクセスは成田空港が筆頭株主、成田空港高速鉄道は京成電鉄とJR東日本が同率一位の出資をしている。いずれにせよ、成田空港のためのいわば国策の会社である。線路使用料は明らかではないものの、おそらくかなり安い。それが運賃に反映されている。

成田スカイアクセスを颯爽と走るスカイライナー。北総線を経由する

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