なぜ北総線の運賃は高いのか “円満解決”の方法を考える杉山淳一の時事日想(2/6 ページ)

» 2013年04月05日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

ニュータウン開発と鉄道の不適切な関係があった

 鉄道事業と住宅開発は密接な関係がある。阪急や東急など大都市近郊の大手私鉄には成功例も多い。千葉ニュータウンと北総鉄道の失敗の理由は、不動産と鉄道が別の事業者になったからだ。阪急や東急などは安く仕入れた土地に鉄道を通して価値を上げていった。千葉ニュータウンは自治体が主体であり、鉄道は民間企業に参画させるという方式であった。利益の相乗効果を得にくい構図である。

 千葉ニュータウンの当初の計画は34万人、しかし実際は約9万人にとどまっている。当初予定の約4分の1の規模で、鉄道側の集客の目論見は外れた。ニュータウンの将来性を信じた入居者の期待も裏切った。この罪は重い。

 千葉ニュータウンの失敗については、オイルショックやバブル崩壊、少子化などと言われている。しかし、千葉ニュータウンの事業開始は1966年で、同時期に多摩ニュータウン(1965年)、港北ニュータウン(1965年)の計画がスタートしている。これらと比較すると、千葉ニュータウンの失敗は社会情勢だけとはいえない。きちんと総括し、千葉県や都市再生機構は責任を取らなければいけない。

北総鉄道の高額運賃は鉄道ファンにもよく知られていた
印旛日本医大駅は地域のシンボルになるようデザインされた。ただしドーム型の展望台は非公開

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