今年の花見は発泡酒ではなく、ビール――そのネタは都合よすぎないか相場英雄の時事日想(2/3 ページ)

» 2013年03月28日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

 代表的なのが、次のような事例ではないだろうか。

 証券会社や運用会社のエコノミストやアナリストが登場し、「◯◯的な商品が売れた時期は景気が回復するケースが多い」、「◯△キャラのアニメが視聴率を上げるときは景気が上昇基調にある」的なリポート類だ。

 実際、テレビの情報番組ではこうしたリポートを記した専門家が登場、アベノミクスと景気回復への関連について自説を唱えている。また、週刊誌でも同じような企画記事が増え始めている。

 だが、ちょっと待ってほしい。元経済記者としては「それ、イロモノ・リポートですよ」とツッコミを入れたくなるのだ。

 実際に取材したことのあるエコノミストやアナリストが少なくないのだが、この手のリポートを出す向きは、“対顧客”で注目度を上げる手段として毛色の変わったリポートを書く傾向が強いのだ。

 例えば、「ラーメンと景気循環」と題するリポートを発表、記者クラブの投函ボックスにリリースすれば、2〜3社は必ず反応し、短い読み物記事として取り上げてくれる。実際、私もこうしたリポートに接した際は、新人記者に練習用の素材として提供した。

 もちろん、こうした風変わりなリポートを書く向きは、経済の専門家であり、景気や個別企業の精緻な分析技術を持っている。ただ、他社に同じような肩書きの専門家が多数存在するため、マスコミを通して名前を売り、最終的に年金基金などの機関投資家からの注文を受けるようにするための強かな戦略の1つなのだ。

 イロモノ的リポートは、読者や視聴者の注目を集めやすい。ただ、“宣伝”的な色彩が極めて強いので、紙面の空きがあるときや、記事数が少ないとき以外は使わなかった。だが、現状をみると、同じリポートを扱った企画が目白押し。少し安易すぎはしないか、というのが元記者の小言だ。

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