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» 2013年03月28日 08時00分 UPDATE

日本人が気づいていないヘンな日本語:なぜ、日本人はすぐに「すみません」と言うのか (1/2)

「すみません」は、謝罪のほかにも呼びかけの言葉として使われる。米国出身のセイン氏は、2つの意味を持つこの言葉に興味があるようだが……。第4回は、日本語の「すみません」や「どうも」などについて勉強していこう。

[デイビッド・セイン, 長尾昭子,Business Media 誠]

日本人が気づいていないヘンな日本語:

book

 この連載は書籍『日本人が気づいていないちょっとヘンな日本語』(アスコム)から抜粋、再編集したものです。

 日常会話でよく使う日本語なのに、実は日本人自身もよく分かっていない。よく使うけど、考えてみたらちょっと不思議な日本語……。そんなこと、ありませんか?

 「ピンからキリまで」の「ピン」って何のこと? とか、「全然OK」は間違った使い方と言われるけど、実は間違いではないって知っていましたか?

 私たち日本人が「当たり前」と思っていることも、外国の人たちから見ると「ヘンだよ、おかしいよ」ということがたくさんあります。間違った日本語ということではなく、外国人の目から見て奇妙に見えるということです。

 この本では、英語教師デイビッド・セイン氏が持つ日本語の疑問について、日本語教師である長尾昭子氏が答えていきます。みなさんも、質問に登場する「日本語」の中に「日本語のおもしろさ」を再発見できるはずです。「ヘンだけどおもしろい日本語」の世界を、一緒に探検してみませんか。


著者プロフィール:

デイビッド・セイン

アメリカ出身。英会話学校経営、翻訳、英語書籍・教材製作などを行うクリエイター集団「エートゥーゼット」の代表。これまで累計350万部の著作を刊行してきた英語本のベストセラー著者。日本で30年以上の豊富な英語教授経験を持ち、これまで教えてきた日本人生徒数は数万人に及ぶ。


長尾昭子(ながお・あきこ)

 公益社団法人国際日本語普及協会(AJALT:文化庁所管の外国人への日本語普及・教育機関)講師。慶応大学卒。欧米人のビジネスパーソンや外交官の間で大人気の教師で、教科書作成や日本語教師向けの雑誌への連載執筆の実績多数あり。


「どうも」はあいさつの万能選手

セイン:「どうもすみません」と言うと謝罪の言葉ですが、それを分けて「どうも」と「すみません」にすると、どちらも便利なあいさつの言葉になりますね。

 「どうも」は「こんにちは」「さようなら」「はじめまして」「よろしくお願いします」といった、たくさんの意味を兼ね備えているみたいです。外国人が日本語をマスターしたいと思ったら、まずはこの「どうも」から覚えるのがいいんじゃないでしょうか。

長尾:「どうも」は、「何とも言いようのない」という意味の「どうも言えぬ」から生まれた言葉です。それが「すごく」とか「大変」という程度を表す言葉になり、いろいろなあいさつの言葉につけて使われました。そのあいさつの言葉が省略されてしまったのが、今の「どうも」です。省略されていない形が「どうもすみません」や「どうもありがとうございます」です。

 「どうも」にはそのほかに、「いろいろやってみても(うまくいかない)」「はっきりしないが、どうやら」「何とも、いやはや」という意味があります。

「すみません」は呼びかけ? 謝罪?

セイン:なるほど、そうだったんですか。では、もう1つの「すみません」は、謝る言葉が軽い呼びかけに変わったものですか?

長尾:「すみません」は「すむ」という動詞から生まれたものです。「すむ」は漢字で「済む」と書きますが、これは「澄む」という意味も兼ねていて、自分の気持ちが収まることを示します。

 つまり「すみません」とは、「それでは自分の気持ちが収まらない」という意味です。何かありがたいことをしてもらって感謝の気持ちで申し訳なく思うから「すみません」と言い、何か失礼なことをしてしまい、そのままでは申し訳ないと思うから「すみません」と謝るわけです。次の例文にその感じが出ていると思います。

 「ちょっとお手伝いしただけなのにこんなにたくさんお礼を頂戴してしまって、本当にすみません」

 「また、この前と同じ失敗をしてしまってすみません。まったくおわびの言葉もありません」

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