ローマ字が日本のイメージを台なしにしている――ソニーが「SONI」だったらビジネス英語の歩き方(2/3 ページ)

» 2013年03月27日 08時00分 公開
[河口鴻三,Business Media 誠]

いまだにヘボン式?

 そもそもローマ字は、16世紀にキリスト教の伝道を目的に来日したポルトガル、スペインの宣教師たちが日本語をアルファベット(ラテン語、ポルトガル語など)で書きとめたことから始まりました。1600年代初期までに、かなり立派な日本語‐ポルトガル語辞書ができていたわけですから、長い歴史があります。

 鎖国を経て明治が始まろうとするころ、次の大きな波がやってきました。今度は仏教国日本にキリスト教を広めようとやってきたニューヨーク出身の医師、ジェームス・カーティス・ヘボンによる、英語の発音に準拠したヘボン式ローマ字の登場です。その後、日本語に準拠した「訓令式ローマ字」が定められましたが、いまだにヘボン式が主流です。

 ヘボン式にせよ訓令式にせよ、日本語の50音に対応するローマ字表記を作ることが目標でした。しかし、あまりにも単純です。「静岡」を「Shizuoka」(ヘボン式)とするか「Sizuoka」(訓令式)とするかの違いくらいで、いずれにしても日本語の微妙な音やイントネーションを表現するには不十分です。

伊達公子はキミコ・デートに?

 日本人は、ローマ字表記によって元の日本語の音がすっかり変わってしまう可能性に、あまりにも鈍感です。

 例えば、東京に「明大前」という駅があります。ローマ字表記では「Meidaimae」となりますが、英語ネイティブには正しく読めません。「ミーデーミー」あるいは「マイデーマ」に近い読み方をするのが精いっぱいで、「メイダイマエ」と聞いたら絶句して両肩をすくめる人がほとんどでしょう。

 現役で頑張っているテニスの伊達公子選手。海外では「Date」というスペリングになりますが、彼女を知らない米国人は「デート」と読むかもしれません。男女のデート(Date)と同じスペリングですから当然です。キミコ・デートではいけません。思い切って「Datay」とするのも一案です。これならば、ほとんどの外国人は「ダテ」に近い発音をします。

 プロゴルファーの青木功さんの場合も同じです。「Aoki」という4文字のなかに母音が3つもあるのですからいけません。「エオキ」はまだ良いほうで「エオカイ」もあるでしょう。こういう場合は、「Awoki」のように意図的に子音を入れることを考えたほうがいいでしょう。

 冒頭のデンソーも、「DENSOW」ならば間違いなくデンソーと発音されます。アルファベット表記が英語でどのように発音されるのかを知るのに、とっておきのサイトがあります。ヤフーの英語読み上げサービス「英文を聴こう」Google 翻訳の読み上げ機能などです。試しにDatayやDENSOWを張り付けて、音を聞いてみてください。今までのローマ字表記より、はるかに日本語に近いはずです。

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