ローマ字が日本のイメージを台なしにしている――ソニーが「SONI」だったらビジネス英語の歩き方(1/3 ページ)

» 2013年03月27日 08時00分 公開
[河口鴻三,Business Media 誠]

「ビジネス英語の歩き方」とは?

英語番組や英会話スクール、ネットを通じた英会話学習など、現代日本には英語を学ぶ手段が数多く存在しています。しかし、単語や文法などは覚えられても、その背景にある文化的側面については、なかなか理解しにくいもの。この連載では、米国で11年間、英語出版に携わり、NYタイムズベストセラーも何冊か生み出し、現在は外資系コンサルティング会社で日本企業のグローバル化を推進する筆者が、ビジネスシーンに関わる英語のニュアンスについて解説していきます。

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 前回「日本人英語のここが外国人に笑われている(関連記事)」では、日本、中国、韓国など東アジアの国々で使われている「英語」の揚げ足を取って、いわゆる英語ネイティブがいかに陰険な喜びに浸っているかという話を紹介しました。

 今回は、商品名や社名の英語(ローマ字)表記についてです。ここには日本人、日本企業がまったく気が付いていない危険がいっぱいです。例えば、社名がまったく違った発音で浸透しているのです。

英語社名には危険がいっぱい

 デンソーという会社があります。もともとはトヨタの開発部門の1つでしたが、日本電装という社名で独立。デンソーとなったいまでもトヨタグループの一員としてカーエアコンなどあらゆるクルマ関連部品を作っている自動車部品メーカーで、売上高は為替レートにもよりますが、3兆円とか4兆円といった巨大なグローバル企業です。

 残念なことに米国をはじめとする英語圏では、「DENSO」というローマ字化によって「デンゾ―」と濁った音で呼ばれることがあります。これではデンソーという企業のイメージとは程遠いものがあります。

 ニコンの「Nikon」という表記は、海外では「ナイコン」と呼ばれています。逆に海外でニコンと発音したら、「違うでしょ、それはナイコンと言うんだよ」と直されるかもしれません。それくらい定着してしまっています。

 富士重工業の「SUBARU」は、ニコンとナイコンほどは違いませんが、「スバルー」あるいは「スバルゥ」と発音されます。製品であるクルマの売上は好調なスバルですが、そのシャープな響きが失われ、ややだらしない感じで発音されることが多いのは残念です。

 なぜ日本企業の社名がこのように違った発音をされるのでしょうか。一般的に、母音で終わる単語が非常に少ない英語の世界に、明治期のヘボン式ローマ字の導入以降、ほとんど進化していないローマ字表記を用いていることが原因の1つです。SUBARUの末尾に「U」があるために、だらしなく発音されてしまうのです。もしも「SUBAL」だったら、元の音に近いシャープな響きになるでしょう。

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