例えば、沖縄県の場合、カジノリゾートの建設だけでも3200億円で直接雇用1万3000人を見込み、年間収入(カジノ運営以外も含む)は2100億円。県全体への経済波及効果は約8974億円、約7万7000人の雇用が創出できるはずだ、とソロバンをはじく。事実、2010年にカジノをはじめたシンガポールでも観光客が急増している。ギャンブルという問題点はあるものの、実は「バラまきだけじゃなく成長戦略を」という声に応えるうってつけの策だったりする。橋下徹氏や石原慎太郎氏、そして息子の宏高氏がカジノを推進するのは、そういう理由だ。
だが、この「カジノ構想」には重大な欠陥がある。ホテルや開発はいいとして、産業の“核”であるカジノオペーレーションができる日本企業がないということだ。小難しい話は省くが、カジノは全世界的に厳しい規制があって、なんの実績もない業者になどライセンスは与えられない。
だからもし日本でカジノリゾートを造るとなると、「カジノ王」と呼ばれているマカオのスタンレー・ホーやラスベガスのスティーブ・ウィンを招かねばならない。そういうキモの部分を外国人に握られたら、日本人の旨味は減る。
そこに目をつけたのが岡田会長だ。いち早く米国に進出し、スロット製造業者として米カジノライセンスをとり、スティーブ・ウィンが資金難で苦しんでいるときに手を差し伸べて「盟友」となった。すべては日本でカジノが解禁された時に主導権を握るための先行投資だったのだ。
そんなパイオニアが「朝日新聞」らが主張するように、「不正」をしていたとなると、「カジノ」のイメージは地に落ちる。先の選挙で石原慎太郎氏が公約から「カジノ」を引っ込めたように、多くの政治家が「カジノ推進」の看板を下ろす。「カジノで景気回復」は実現からグーンと遠ざかる。
先週、UE社は「朝日新聞」を提訴した。法廷へと舞台を移した両者のデスマッチから目が離せない。
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