コラム
» 2013年03月25日 08時00分 UPDATE

藤田正美の時事日想:「あり得ない」はゼロではない、今の日本に必要な危機管理 (1/2)

集団的自衛権や憲法改正を声高に唱えるよりも重要なこと。それは脅威が現実のものになったときに、いったい何が起こるかというシナリオをたくさん描くことだ。

[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 1945年を境に、日本は一貫して「平和国家」としての道を歩んできた。経済の復興に努め、戦後の奇跡と呼ばれる高度成長を遂げてきた。平和国家としての理念を具体化したものが、日本国憲法と見なされてきた。憲法9条はまさに日本の戦後の中で、輝いてきたと思う。

 しかし、憲法9条があるから日本が平和だったわけではない。日本という国に対して武力で攻撃を仕掛けようとする国がなかった、それが事実である。なぜ、日本は外部から攻撃を仕掛けられずにすんだのか。いくつか理由を挙げることができるだろうが、その1つは海という天然の要害で守られていることだろう。従来の陸海空という兵器や部隊で攻めるには、この海というのは厄介な存在だ。陸続きならまだロジスティックもやりやすいかもしれないが、海を越えるのはリスクが大きい(それは元寇の役を見ても分かることだ)。

 2つめに挙げられるのは米軍の存在だろう。米軍とその核兵器の傘の下にいる日本を攻めるのは、よほどの愚か者にしかできない相談だ。米軍から反撃を受けた場合の損害を計算に入れたら、日本に対して攻撃を仕掛けてもソロバンが合わない。つまり理性が働く国であれば、やらないということだ。

 しかし北朝鮮ばかりは、何を考えているか分からない。北朝鮮は米国や韓国が挑発すれば、日本にある米軍基地やグアムもミサイルによる「攻撃」の対象となると脅迫してきた。まだ東京を「火の海」にするとまでは言っていないものの、米海軍の原潜基地などを精密に爆撃する能力があるとする。

 北朝鮮が「暴発」する可能性が高まっているのか、それともそれは単なる「脅し」であって、要するに「瀬戸際外交」なのか。そこが大問題だが、以前に比べると脅威の度合いが上がっているように感じる。

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