ミニジョブスを抱えている企業は強くなれる

» 2013年03月22日 08時00分 公開
[今野誠一,INSIGHT NOW!]
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今野誠一(いまの・せいいち)

マングローブ社長。設立以来15年、企業経営にあたりつつ、自らも第一線のコンサルタントとして、主に組織変革コンサルティング、経営幹部教育プログラムや管理職研修のファシリテーション、企業理念構築や経営ビジョン構築ワークショップのファイシリテーションなどを担当している。企業からはもちろん、昨今は自治体などからの要請による組織変革に関する講演も多い。著書に『マングローブが教えてくれた働き方』『稼ぐチームになるためのすぐやるリーダーの仕事術』がある。


 先日、某社の社長さんと話していたら、「うちにもジョブズみたいな人が現れたらいいんだけどね」という話になった。こうした「ジョブズ待望論」のような考えを持ちがちなのも、変えなければならない現状の深刻度を考えると無理のないことだろう。

 それが最初から無理難題であることも、皆よく分かっている。しかし、ジョブズは無理でも「ミニジョブズ」ならなれるかもしれない。今まで誰も考えもつかなかった、まったく違う視点の新しいものを生み出させる人に全員がなる必要はさらさらない。

 しかし、組織の中に1人でも多くのミニジョブスを抱えている企業は強くなれるだろう。ミニジョブズとは「変えられる人」のことだ。今回は、ノンバイアス思考とAND思考についての話である。

ノンバイアス思考とは?

 人々が持っている「当たり前」、当然のようにある「想定」を疑い、打ち壊してものを考えるということ。

 数百万段の売れ行きを誇る、ゲーム業界のお化け商品の「Wii」は、「ゲーム好きの子供が1人や数人で遊ぶ道具」というのが当たり前で、それを高度化し大人向けにしたものを大人もやるという世界だった。

 そこに「家族の一家団らんになる道具」という切り口を持ち込み、スティック型コントローラーを使って、自分が動くという体感型という想定外の発想を持ち込んだのがWiiである。

AND思考とは?

 これからのイノベーションにどうしても必要な考え方である。今までなかったものを作ろうとすると、いくつものハードルが出てくる。何かを実現しようとすると、別のハードルが生じるというトレードオフの状態が起こる。

 山ほど出てくるできない理由を、ひとつひとつつぶしていく発想ではなく、一発解決の方法を見出そうと、脳に質問を投げかけ続けて、考え続けること。

 その中から初めて、新しいものが生まれる。これらの考え方について、小さなワークを積み上げながら深めることに取り組んでいる。1人でも多く「変えられる人」が存在する会社が強い。(今野誠一)

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