コラム
» 2013年03月21日 08時00分 UPDATE

相場英雄の時事日想:「あれから2年」というカレンダー記事ばかり――残念な震災報道 (1/3)

3月11日。大手メディアはこぞって「大震災から2年」の特集を組んでいた。なぜ各社は“あれから2年”という紋切り型の報道をするのか。その背景にあるのは……。

[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『震える牛』(小学館)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『鋼の綻び』(徳間書店)、『血の轍』(幻冬舎)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 3月11日。言うまでもなく東日本大震災から2年が経過した日である。当日、私は在京の新聞やテレビの報道を注視した。当欄で繰り返し震災報道の酷さを指摘してきた元メディア業界の人間として、いくらかは改善がみられるのではないという淡い期待を抱いていた。だが、“あれから2年”という紋切り型の記事、企画が大半だった。大震災報道を通じ、大手メディアの病根の根の深さを痛感した。

 →3月11日で終わったこと・終わらないこと(関連記事)

またもや「今のお気持ちは?」

  3月11日の前日、あるいは当日に、東北沿岸被災地の多くの自治体が慰霊祭を開催した。これらの様子を新聞、あるいはテレビの報道で知った読者は多いだろう。私もその1人だった。だが、複数のニュース番組、あるいは情報番組で空いた口がふさがらない画像が流れたのだ。慰霊祭に出席した地元民に対し、複数の記者、リポーターがマイクを突きつけていた。

「今のお気持ちは?」……。

 震災発生直後の当欄で、筆者はこんな記事を書いた(関連記事)

 画面に現れた地元民は喪服姿で、ハンカチを口元に当てていた。慰霊祭に出席し、故人に思いをはせていたのは明白。そこに「今のお気持ちは?」である。プロとして取材する以上、聞き方があるだろう、という強い憤りを感じたのだ。

 あの日から2年が経過したタイミングだ。私は、震災直後に被災地を訪れた際、民放や大手紙の若手記者に同じような聞き方をされ、立腹したという避難所代表を務めていた壮年の男性の言葉を思い出した。

 「自宅が丸ごと流され、知り合いが死んだ。食うや食わずの日がいつまで続くか不安で一杯なのに、『今のお気持ちは?』って聞くんだ。他に尋ね方ってもんがあるだろう」……。

 震災発生直後、大メディアの稚拙な取材手法に対してはTwitterなどで批判が渦巻いた。だが、結局報道の現場ではこうした教訓が全く生かされていなかったことになる。

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