あなたに決断を迫る体験型企画展「お金道」――日本科学未来館お金との向き合い方をチェック!(1/2 ページ)

» 2013年03月19日 13時00分 公開
[まつもとあつし,Business Media 誠]
お金道

 東京・お台場にある日本科学未来館で、2013年3月9日から6月24日まで「お金道」と銘打ったユニークな企画展が開催されている。

 日常の買い物から、ローン、投資といった人生におけるお金との向き合い方には、人それぞれの「クセ」がある。私たちの脳が下す決定は必ずしも合理的なものばかりではなく、気付かぬ間に間違った選択を行っていることも。

 10カ所の体験型展示から構成される「お金道」は、そのクセを知り、自らの選択が社会にどのような影響を与えるかまでを未来館らしく科学的に学ぶことができる場となっている。

お金の使い道、決めるのは来場者自身

 展示場は1つの街を見立てた作りになっている。来場者同士、またそれぞれの実験をナビゲートする未来館のスタッフの存在を意識しながら、あたかも現実社会で決定を下しているような感覚で各実験に臨んでもらうという意図がそこにはある。

 実はこの企画、検討段階で「なぜ日本科学未来館でお金についての展示を行うのか」という疑問の声も上がったそうだ。先端的な「科学」を紹介するのがこの施設の役割で、お金について取り上げることに一部違和感もあったのだという。金融不安と不況、震災と復興など、誰もがお金について向き合わねばならないなか、行動経済学、社会心理学という科学に光を当てるこの展示。「損失を回避しながら生存を図る生物としての本質に通じる」という毛利衛館長の後押しもあり、実現に至ったのだそうだ。

 ネット上では、某個人向けファンドがうたう「毎月数万円の積み立てで1億円が貯められる」といった宣伝に異論も集まっている。どんなカラクリがそこにあるのか、また、具体的な施策がないままに、期待感で景気が刺激された「アベノミクス」に際して「そろそろ株を買った方が良いのかな」などと考えている人にも足を運んでもらいたい展示ともいえそうだ。

 実際、この後紹介する10個の実験を体験してみると、「普段は冷静でロジカルに物事を判断している」と自負している人でも、周囲の状況や限られた時間、与えられた情報の中で、存外に間違った決断を下していることに気付かされるだろう。

お金道

 こういった現実を私たちの脳がどう認識し社会と向き合っているのか、というテーマについては、常設展「ぼくとみんなとそしてきみ―未来をつくりだすちから―」(参考記事)でも学ぶことができる。あわせて見ていくことをおすすめしたい。

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