新卒採用面接は、なぜ何回もくり返し行われるのかサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/4 ページ)

» 2013年03月18日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

「あなたを動物に例えると何ですか」に何の意味があるのか

 新卒採用における「面接」とは、もはや当たり前のアセスメント方法で、それを行わない企業はほとんどありません。そして、とんちんかんな質問をする企業が続出するのもまた、この時期の風物詩です。

 例えば「あなたを動物に例えると何ですか」「食べ物の中で一番好きなものと、その好きな理由を答えなさい」「1+1の答えを自分なりに考えて説明しなさい」「一度だけ人生がやり直せるとしたらどの時期に戻りたいですか」「ここに1億円あるとして、その使い道を説明してください」「あなたがこの企業で実現したいことはなんですか」「東京ドーム1杯分のビールがあるとしたらどのくらいの規模の宴会が開催できると思いますか」など、挙げればきりがありません。企業は就活生に対して、さまざまな質問を投げかけます。

 先に挙げた質問の中には「論理的思考力を問う」ものや「対人折衝能力を測る」問題が隠されているのも事実です。しかし残念なことに、質問をしている企業の面接官の多くが「質問の回答から正確に、必要とされるべき能力を持ち合わせているのかどうかをアセスメントする」という訓練を受けていないのが現状です。そう、雰囲気で何となく質問して、その回答が何となく「論理的思考力があるっぽい」という評価がされているのが、就活の現場ともいえるのです。とんちんかんな質問が飛び交い、就活生がそれに戸惑い、そしてさらに混乱する。しかも、面接は1回や2回ではありません。何度も繰り返し面接は行われます。そこにはいくつかの「企業の思惑」が隠されているのです。

就活における面接の目的とは?

 新卒採用における面接の目的は、実はアセスメントだけではありません。もう一つ「動機形成」という大きな目的が隠されています。何度も繰り返し面接をすれば、その会社の社員と深く接する機会も増える、その側面を上手く利用するのです。実際、面接官向けのマニュアルでは、動機形成に触れているものが多く、「いかに応募者にその会社のことを好きになってもらうか」を面接官は考えて会話や行動をするべきだと説明されています。年次の若い面接官、ベテラン社員、女性社員など、次々とキャラクターの違う(そしてきわめて魅力的な)面接官を繰り出し、幾度となく面接を繰り返す背景には、その会社へ「ここだったら入社してもいいかも」と、応募者である就活生に思わせるための思惑があったのです。まあ、就活生にしてみれば、何度も面接に呼ばれるのは、面倒だと思うでしょうが。

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