コラム
» 2013年03月15日 08時00分 UPDATE

「いいね!」中毒に気を付けろ! (1/2)

このところのSNSの大流行、躍進の背景にあるのは、さまざまな場における人の「承認欲求」が満たされない環境なのでないかと感じている。この記事が「いいね!」に隠された中毒性を認識した上で、SNSの使い方を考える1つのきっかけになればいいと思う。

[今野誠一,INSIGHT NOW!]
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今野誠一(いまの・せいいち)

マングローブ社長。設立以来15年、企業経営にあたりつつ、自らも第一線のコンサルタントとして、主に組織変革コンサルティング、経営幹部教育プログラムや管理職研修のファシリテーション、企業理念構築や経営ビジョン構築ワークショップのファイシリテーションなどを担当している。企業からはもちろん、昨今は自治体などからの要請による組織変革に関する講演も多い。著書に『マングローブが教えてくれた働き方』『稼ぐチームになるためのすぐやるリーダーの仕事術』がある。


 2週間ばかり、FacebookもTwitterも利用しない時を過ごした。色々やりたいことも多く、時間がなかったという事情にしているが、内心の目的は、ある種の中毒になりそうな嫌な感覚があって、一度離れてみようと思ったからだ。

 このところのSNSの、特にfacebookの大流行、躍進の背景にあるのは、さまざまな場における人の「承認欲求」が満たされない環境なのでないかと感じている。

 人間が幸福感を得る究極的な事象というものは、金銭欲、物欲などでは一切なく、ひとえに他者からの「承認」である。

 近来までの日本の社会システムの中では、比較的容易に「承認欲求」を満たすことができていた。

 企業の中においては、置かれた部署で真面目に働き、ある程度のキャリアを積めば、多少の個人差はあってもある程度のポストまでは上ることができた。

 年功序列というシステムの中で、ひとりひとりの差というものも今ほどは劇的につくことがなく、仕組みの中で承認されているベースができていたと考えられる。

 そのことがまた、家庭という身近なコミュニティーの中で「家長」としての威厳を保ち、家族から尊敬される存在でいる根拠になっていたわけである。

 しかし、以前当たり前だったそのような環境は、数十年も経たない短い期間を持って終焉を迎え、まったく誰も経験をしたことがない社会システムを試行錯誤しながら進む時代に入ってしまった。グローバル化の波が、その現象に拍車をかけ、より複雑にすることに貢献している。

 そこに登場したのが、TwitterでありFacebookといったSNSである。Twitterにおいては、1人でも多くの人からのフォローとリツイートを得ることに価値を見出すようになり、Facebookにおいても友達承認願いであるリクエストはもちろん、何と言っても「いいね!」であり、そしてシェアという勲章がある。

 この仕組みは多分に相互互助的意味合いがあり、どんなに内容が世間話の延長で希薄なものであっても、持ちつ持たれつで「いいね!」をし合っているだけという場合も多いのであるが、あの「いいね!」をもらう感覚は、まさに「承認欲求」を満たす物質を分泌するものなのである。

 「承認欲求」まではいかないとしても、実社会において希薄になっている「誰かとつながっている」感覚が、そこはかとなく自分に安心感を与える。この感覚を何日も何カ月も続けていくと、それはいつの間にか始終つぶやいたり投稿したりして、人の反応に快感を覚える「快感中毒」「承認中毒」化していくことになる。

 この中毒のやっかいなところは、PCやスマートフォンなどの道具が手元にある限り、どんな環境であってもアクセス行動を取ってしまうことにある。

 自分一人での作業中や思索中などはもとより、会議中であれ、研修中であれ、自制心は解き放たれSNSのとりこになっている人もいる。「自分だけは別だ」と自制心に自信を持っていても、この「脳内麻薬」に蝕まれることから逃れることはできない。

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