進むクラウド化、デジタル化―最新会計ソフト活用で業務効率アップ

確定申告を2日で終わらせる、「青色申告ソフト」の使い方増税サバイブ術(8/9 ページ)

» 2013年03月14日 08時00分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

固定資産と減価償却

 売り上げと細々とした経費の記帳が終わったら固定資産と減価償却だ。実際には順番が決まっているわけではなく、最初に固定資産を記帳しても何も問題はない。でも、作業量の多い経費や売り上げの記帳を先に終わらせると「もう一息」といった気分にはなる。

 前にも説明したが、10万円以上ものは固定資産となり、クルマなどは長期間使用するので購入したその年から数年に分割して経費計上する。これを減価償却という。固定資産はそれぞれ耐用年数=使用期間が定められていて、普通車は6年、軽自動車は4年、2輪車は3年、PCは4年、カメラは5年などと定められている。

 固定資産は2段階の作業で記帳する。例えば20万円のレーザープリンタを買った場合、買った時点で20万円の固定資産を買ったことを記帳。この時点では経費には算入されていない。次に減価償却の方法を通常の5年で償却するのか、一括償却や、青色申告の特例で即時償却するかを選択し経費に算入する。では実際にやよいの青色申告を使って記帳してみよう。

「固定資産」を選択し、比較的近い「パソコンを購入した」を選択。摘要のパソコンをレーザープリンターに変更。日付と金額を入力し登録をクリック
7月3日に20万円のレーザープリンターを現金で購入したと記帳された。この例では現金が20万円減り、固定資産を購入したことは記帳されたが経費にはなっていない
経費算入するために決算・申告のタブの固定資産管理をクリック
新規作成をクリック
レーザープリンターと入力、プルダウンから工具器具備品を選択。取得年月日、取得金額を入力する。償却方法はここでは定額法を選択。耐用年数は自分で調べて5年と入力。家事按分の必要がなければこれで終了だ
横長で見づらいが、固定資産一覧に登録された。5年償却で7月購入のため半年分の2万円が経費となった
償却方法を変更する場合は編集を行う。ここでは償却方法を定額法から青色申告の特典である即時償却に変更してみた
本年分の必要経費算入額が10倍の20万円となった。摘要欄には忘れずに「措置法28の2」と記入する
償却方法が「即時償却」に変わり、この年に全額が経費となった
次は年末ギリギリに節税対策で購入したデジタル一眼レフを、10万円以上20万円未満の資産の一括償却を行ってみよう。簡単取引入力で固定資産の購入を記帳した後で、固定資産管理から固定資産の登録を行う。償却方法のプルダウンから一括償却を選択し登録をクリック
固定資産一覧を見ると何も経費算入されていない。ここからはやや裏技的な操作で進める必要がある。やよいの青色申告で筆者が使ったことのある機能の中では、この一括償却は最も不出来な印象だ。
この段階で確定申告モジュールを開くと、こちらも一括償却は経費算入されていない。損益計算書との差額のエラー表示は最終書き出しを行っていないためで、この段階では問題なし
一括償却をした場合は「拡張機能」「固定資産管理」「一括償却資産一覧表」を選択する
一括償却資産一覧表が開いたら、資産設定をクリック
3年均等割で償却するので、手計算で本年分普通償却費を入力する。ここではプルダウンの電卓機能で16万円/3を入力しOKをクリック
この段階で確定申告モジュールの減価償却費には経費算入額が記載された
固定資産一覧表の画面上は一括償却資産は表示されない。全ての固定資産を登録したら仕訳書出を行う。この仕訳書出によってその年の経費分が減価償却費として経費算入される仕組みだ。筆者の経験では、仕訳書出した後に追加や変更を加え、また仕訳書出をすると重複して経費算入されてしまう。その際は古い仕訳を削除しよう
レーザープリンターの20万円(即時償却)は借方に減価償却費として振替伝表に記載された
一括償却した固定資産は残念ながら自動的に反映されないので、行コピー、行貼り付けで金額を自分で訂正し、登録をクリックする
仕訳日記帳を見ると年度の最終日に減価償却が記帳され、経費算入されたことが分かる
確定申告モジュールの減価償却費も減価償却費が経費算入されたため差異がなくなりエラーが消えた

 この連載を長年書いているため、筆者が青色申告や、やよいの青色申告に詳しいと勘違いされて、たびたび質問を受けることがある。その質問で多いのが固定資産、減価償却だ。筆者も最初の頃は固定資産、減価償却の記帳は理解できなかった。

 繰り返しとなるが固定資産、減価償却は2段階で登録することを理解していただきたい。最初はお金を使ったことを記帳し、次にそのお金を償却方法の選択により1年から数年に分けて経費算入するイメージを持っていただければ分かりやすいだろう。

 紹介した事例以外では、クルマや自宅マンションなどを家事と共用する場合は事業専用割合を設定する。ちなみに持ち家の住宅ローンの元金は経費にはならないが、利息は按分して経費とすることができる。

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