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» 2013年03月14日 08時00分 UPDATE

伊吹太歩の世界の歩き方:チャベス大統領と米国の「がん兵器」 (1/3)

南米ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が、がんで死去した。「21世紀の社会主義」を目指して米国と戦った彼の遺体は、保存技術によって一般公開される。

[伊吹太歩,Business Media 誠]

著者プロフィール:伊吹太歩

世界のカルチャーから政治、エンタメまで幅広く取材し、夕刊紙を中心に週刊誌や月刊誌などで活躍するライター。


 2013年3月6日、南米ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が、2年にわたるがん闘病の末に58歳という若さで死去した。チャベスは「21世紀の社会主義」を目指して国名や国旗までを変え、さらに反米路線を貫いた。

 ジョージ・W・ブッシュ前米大統領を悪魔と呼び、バラク・オバマ米大統領を道化師と呼んだ。米国やイスラエルと対立が深まるイランに対して、これ見よがしに接近した。そんな姿勢から、世界中のメディアはチャベスの発言を追っかけ、ニュースのネタにしてきた。

 キャラの立ったチャベスは、実はいい時期に姿を消したのかもしれない。石油から得た利益で、国内はもとより周辺諸国にも影響力を行使してきたが、最近では国内の経済が行き詰まって先行き不安な状態に陥っている。

 石油会社を国有化し、富を再分配することで、貧困層を中心に国内の支持を強固なものにしてきた。ただそれも国有化した企業の業績が改善されないことで、今後どこまで維持できるのかと指摘される。またチャベス政権下では犯罪率が急増するなどの社会的な不安定要素も顕在化していた。

 こうした現状からも、チャベスの指導者としての手腕には賛否があるのは分かる。ただそれでも1つ確かなことがある。現代の世界で、チャベスは間違いなくカリスマ的な指導者の1人であったことだ。さらにその存在感は、これから何十年も経ってから再確認される可能性すらある。

チャベスの遺体は半永久的に保存される

 チャベスの葬儀には、世界のそうそうたる面々が参列した。キューバのラウル・カストロ国家評議会議長、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領、イランのマフムード・アフマディネジャド大統領。さらに米俳優のショーン・ペンや、著名な米市民権活動家のジェシー・ジャクソン牧師も葬儀に姿を見せた。

 そしてニコラス・マドゥロ副大統領は、チャベスが存在した事実を消さないように、その亡骸を生前の姿のまま半永久的に保存すると発表した。陸軍博物館に安置し、一般に公開するという。そんなことがどうして可能なのかと思われるかもしれないが、欧米では当たり前のように行われている「エンバーミング」によって、それは可能になるのだ。

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