彼女たちが上司を尊敬できなくなったワケサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(3/3 ページ)

» 2013年03月11日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]
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部下を退職させないための、上司の気配りとは

 こういう話を書くと「それは、部下が悪口を書かれて嫌だったという単純な話だろう。嫌なら見ない、Twitterならフォローしないで終わり」と、バッサリ切ってしまう人が、ネット上には多いと思います。しかし、ことはそんなに簡単ではありません。

 人が辞めるということは、とても大きな損害を企業に与えます。企業は使えない人を解雇することに躍起になっていますが、同時に人を採用することにも、まだまだ熱心です。そのために大きな予算を割き、新卒・中途を問わず、さまざまな採用活動を行っています。やっとの思いで採った人材を、上司の不用意なつぶやきや自分勝手に書き散らかしているブログが原因で辞められては、とても困るのです。

 これはなにもネットワーク上で起きていることには限りません。日常の職場でも、上司が不用意な発言をして部下の尊敬を失うことは避けなければならないのは基本中の基本。しかし思慮の浅い上司は、その基本を忘れてしまっている。結果として、お金をかけて採用し、育てた人材がその会社を去っていく。どう考えても「マズい」話です。

 さらにこの話の厄介なところは、退職する人間が退職理由を説明しにくいところにもあります。ブログに悪口書かれたとか、Twitterでのつぶやきを見て失望したから退職しますなんて、理由にもならない気がしますからね。偉そうなことをブログに書いて、他の上司たちの模範になるような人であればあるほど、その人間性を否定することもままならない。同じ土俵に上ってしまっては、自分自身の人間性も疑われることになる。結局、そっとその場を去ることがベスト、ということになってしまいます。

 そういう部下を生み出さないために、上司ができることはたった一つです。常に「部下に」尊敬される行動をとること。肝心なのは、「部下に」という部分です。ソーシャルネットワークやブログなどで「誰かに」尊敬されたい行動をとることが、結果として部下を離反させ、退職にまで追い込みはじめています。それが本意でないなら、部下に尊敬される行動を取るべきなのです。

 いつでも聖人君子でいろ、ということではありません。本人ときちんと向き合えばいいだけの話です。転職市場に、ろくなキャリアも積まないうちにフラフラと出て来てしまう不幸な若い人たちをこれ以上作らないためにも、上司の皆さんには頑張ってほしいなと思うのです。そうそう、嫌なことがあれば、カレーを食べて忘れて! という提案も、合わせて添えておきますね。

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