自分が死んでもあわてない! インターネットの生前準備2013古田雄介の死とインターネット(2/3 ページ)

» 2013年03月01日 08時00分 公開
[古田雄介,Business Media 誠]

ネット資産がたどる道――消滅か現状維持の2択が基本

 ネット資産にはさまざまなタイプがあるが、それぞれを放置すると多くの場合に以下のような道をたどることになる。

オレンジ色が濃い選択肢ほど確率が高い。グレーの項目にはまず進まない

 基本の道筋は「現状維持」と「消滅」の2択だ。その派生系として、「現状維持」をたどった先に「荒地化」がある。もう1つの誰かに「引き継がれる」道は、外部からの積極的な働きかけがないと実現しないが、「消滅」からつながる場合もある。いずれにせよ派生系はレアケースで、ブログやSNSのように多くの人の目に触れるようなコンテンツでないと起きえない。

 この原則を前提に、金銭のやりとりでパターン分けすると、進路はより具体的になる。

 無料サービスや購入済みのコンテンツ(水色)は、「現状維持」の確率がかなり高い。利用規約に会員死亡時や一定期間更新が空いた際の条文があっても、提供側が積極的に消去することはまれだ。「消滅」するのは提供元が事業を止めたり倒産したりといった消極的な理由がほとんどを占める。

 逆に、課金制サービス(黄色)は長期間の「現状維持」が難しい。引き落とし口座やクレジットカードが残っていても、本人が亡くなれば口座が凍結されるため、支払い延滞時の規約により、数カ月程度で「消滅」するパターンが多い。ただし、家族と共有している口座やクレジットカードで契約している場合は、「現状維持」が続くこともある。また、支払い通知書や督促状などのハガキによって遺族がサービスの存在に気付く機会があるため、「引き継がれる」可能性は若干上がる。特に家族で一緒のインターネットサービスプロバイダーを使っている場合、確率は一気に高くなるはずだ。

 通貨系の資産(緑色)は、サービスによって「現状維持」と「消滅」に分かれる。金融機関であるネットバンクやネット証券などの口座が「消滅」することは滅多にないが、電子マネーは無期限で使えるものと数年〜10年程度の有効期限を設けているサービスがあるので個別に確認したい。

 アフィリエイトなどの収入系(同じく緑色)の場合、成約済みの報酬は「現状維持」されるものの、会員の死亡が確認された後は契約が解約されるのが普通なので、定期的なインカムという意味では「消滅」の道を辿ることになる。アフィリエイト大手のA8.net(ファンコミュニケーションズ)の場合、振込先口座のある銀行や遺族からの連絡で会員の死亡を知るケースが多いという。関係者からのアクションがない期間はそのまま振り込みが続くが、受取手がいない状態で「塩漬け」される額が多少増える程度に過ぎない。

 この状態から対策を講じることで、「現状維持」と「消滅」の2択状態から離れ、自らが望む状況が選択的に選べるようになるのだ。具体的な対策は次のページで解説しよう。

対策を講じることで進路が開け、希望に添った道が選べるようになる

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.