鉄道運賃値上げの本番は2014年4月杉山淳一の時事日想(1/4 ページ)

» 2013年03月01日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 前回、JRの割引きっぷの廃止は実質的な値上げだと書いた(関連記事)。往復運賃2割引の周遊きっぷはなくなったし、他のフリーきっぷも別途特急料金が必要になるようリニューアルされている。これらの施策の目的ははっきりしている。旅行客の運賃単価を上げたいのだ。

 例えば、3月末で廃止される都区内フリーきっぷ、都区内りんかいきっぷについて、JR東日本は「お客さまのご利用状況を踏まえ」と説明している。これだけでは理由が分からない。「売れないからやめるよ」「売れすぎてもうからないからやめるよ」どっちだろう。おそらく後者だ。

 これらのきっぷは長距離用きっぷの自動販売機で購入可能だ。あらかじめ印刷しておく必要はなく、ほしい人がボタンを押せば、その都度印刷されるオンデマンド販売。在庫管理はいらない。売れないと経費がかさむ、という仕組みではない。むしろ、売れると通常運賃のお客が減る……と考えたのではないか。

 もうひとつ例をあげると、JR東日本のグリーン車を奨励する施策がある。普通列車のグリーン車は平日の通勤時間帯は満席だが、日中や休日はガラガラ。そこで、着席時にSuicaで料金を精算できるようにし、駅で事前に買えば割引、土休日も割引する。そして、学生向け格安きっぷとしてスタートした青春18きっぷでもグリーン車に乗車可能とした。その間、新たに常磐線でもグリーン車を導入した。2012年12月、JR東日本の社長は週刊誌のインタビューに対し、今後中央本線の普通列車でもグリーン車を導入したいと語っている。

JRグループは割引きっぷなどを廃止して、旅行客の運賃単価を上げようとしている
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