総理大臣よりもはるかに強い――高橋みなみのリーダーシップとはAKB48の戦略!(1/2 ページ)

» 2013年02月28日 08時00分 公開
[秋元康, 田原総一朗,Business Media 誠]

AKB48の戦略!:

book

 この連載は書籍『AKB48の戦略! 秋元康の仕事術』(アスコム)から抜粋、再編集したものです。

 AKB48といえば、今や知らない人はいないほどのアイドルグループで、その人気は日本のみならず海外にも及ぶ。本書では、そんなAKB48の真実や魅力を余すところなく紹介するとともに、プロデューサーでもある秋元康の企画力や発想術などの“刺さる”ビジネスノウハウを徹底的に解明。AKB48のファンはもちろんのこと、ビジネスパーソンにこそ読んでほしい1冊です。


著者プロフィール:

秋元康(あきもと・やすし)

作詞家。1958年、東京都生まれ。美空ひばり「川の流れのように」をはじめ、ジェロ「海雪」(第41回日本作詞大賞受賞)、AKB48「フライングゲット」(第53回レコード大賞受賞)など、数々のヒット曲を生む。2012年、第54回日本レコード大賞“作詞賞”を受賞。

テレビ、映画、CM、漫画、ゲームなど、多岐にわたり活躍中。AKB48グループの総合プロデューサーを務めるなど、常に第一線で活躍するクリエイターとしても知られる。著書に小説『像の背中』(扶桑社)など多数。


田原総一朗(たはら・そういちろう)

 1934年、滋賀県生まれ。1960年、岩波映画製作所入社、1964年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。1977年にフリーに転身。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。1998年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。

現在、早稲田大学特命教授として、「大隈塾」塾頭も務める。『日本の戦争』(小学館)、『田原総一朗自選集(全5巻)』ケビン・メア著『田原総一朗責任編集 自滅するな日本』(アスコム)ほか著書など多数。


リーダーシップとは天性のものではなく、環境が作るもの

田原:前田敦子さんが抜けたAKB48は、高橋みなみさんがますます牽引していくね。

 僕はテレビなんかで、「彼女は当時の総理大臣よりはるかに強いリーダーシップがある」と何度か言ったんです。AKB48はチーム・キャプテンがいたけど、全体のリーダーが任命されていたわけじゃない。でも、誰もが彼女がリーダーと認めていて、今回AKB48全体の「総監督」というものに就任すると。

秋元:高橋みなみという稀有(けう)な才能を持った子がキャプテンになったとき、本当にすべてのエネルギーを前に向けたと思いますね。本人はこんなこと絶対に言いたがらないでしょうけど、僕は高橋みなみは本当に政治家になるべきだと思います。あんなにリーダーシップのある子はいませんよ。

田原:秋元さんの考えるリーダーシップって、どんなことですか?

秋元:僕はそれを、高橋みなみに教えられました。リーダーシップとは天性のものではなく、環境が作るものだと。彼女に最初からリーダーシップらしきものがあって、それをオーディションで受かった直後から発揮したり、みんなを集めて聞いた不満や不安を僕にぶつけてきたりしたわけではないんです。高橋みなみは、本当に誰かの後についていくような子だった。ところが、お姉さんたちが卒業していなくなってしまい、もう頼る人もまとめる人も誰もいなくなったとき、彼女が輝き出した。やらざるを得ない状況が、リーダーを生み出した。

田原:彼女は、自分から手を挙げたんですか?

秋元:いやいや、先輩たちがいなくなり、このままではチームワークどころじゃないと、みんなで円陣を組んだときです。円陣を組んで「チームA!」とコールするんですが、やる人がいない。どうしようかと互いに顔色をうかがっていたら、誰かが「みなみがやれば」と言った。「じゃ、やるか」というのが、きっかけなんです。

 そこから高橋みなみは俄然、強いリーダーシップを発揮していく。これは僕も全然ノーマークで、彼女がそうなるとはまったく思っていなかった。彼女のリーダーシップは、それはそれは見事なものです。

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